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経営の中心に“人の幸せ”を置く時代──理念と業績を同時に実現する方法

 
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はじめに

 

究極の自律型組織づくりを提唱する『指示ゼロ経営』の著者であり、経営コンサルタントの米澤晋也さんは、著書の中で、「誰ひとり会社のために働いている人はいない。(社員も経営者も)みんな自分の人生を豊かにするために、幸せな人生を送るために仕事していることに気がついた。」と述べています。

 

いつもいつも会社や組織のためにどうしたらいいだろうかと考えているあなたも、結局はあなたやあなたの家族を幸せにするために仕事をしたり、経営をしたりしているのではないでしょうか?

 

これからは、社員、経営者、お客様など関わるすべての人々の幸せをど真ん中においた経営が求められます。

 

幸せをど真ん中におく経営が実現すると、人材が集まり、社員のエンゲージメントが高まり、そのことによって取引先やお客様に喜んでもらい、業績がアップし、経営者の理想が実現していくというwin-win-winの好循環が生まれます。

 

そのためには、「人間にとってもっとも幸せな状態とはどんな状態か?」をしっかりと明確にして、経営する必要があります。

 

今回は、今経営にとってもっとも重要なキーワードである「人間にとっての幸福」について一緒に考え、それをどのように経営に活かしていけるかを考えていきたいと思います。

 

人間にとって「幸せ」とは何か?

 

「あなたが幸せを感じる時はどんなときですか?」と聞かれたら、あなたは何と答えるでしょうか?

 

おいしいものを食べているとき、好きな趣味に没頭しているとき、ずっと取り組んできたプロジェクトをやっとの思いで成し遂げたときなどなどいろいろとあるかもしれません。

 

一方で、今こういうことを言う方は少ないかもしれませんが、「良い学校に進んで、安定した大きな企業に入って、安泰に暮らすことが人間にとっての幸せな生き方だよ」と考える場合もあるかもしれません。

 

確かに昭和の末期、私が社会人になろうとしていたとき、そうした人生を歩むことを漠然と目指していたような気がします。

 

大企業に就職し、しっかりと自分のやるべきことで貢献できれば、安定的に収入が得られて、欲しいものが手に入り、快適に暮らしていくことができると思います。

 

ただそうした状態は、幸せに近づくためのベースになるかもしれませんが、「人間が求めているもっとも幸せな状態」ではないと思うますが、いかがでしょうか。

 

南の島の思考実験からわかること

 

ちょっとこんな想像をしてみてください。

 

あなたは、ある南の島のリゾート地で暮らしています。その島はとても温暖で、とても景観が美しく、生活するためのすべてのものがそろっていて、それをあなたはいつでも好きな時に自由にお金を払わずに利用することができます。

 

そしてあなたには働く義務もありません。

 

すべてやりたいことが自由に、好きな時にできますし、望むものは何でも手にいれることができます。

 

ただし、この島にいることができる条件が2つあります。

 

一つはこの島に住むことを希望すると二度とその島からは出られないこと、そしてもう一つはこの島にはあなた以外の人間が一人もおらず、どんな方法であっても人と連絡を取ることができないことです。

 

つまり、あなたはこの島に住むことを希望すると、この世で考えられるすべての贅沢を満喫することできるのですが、一生誰とも会うことができず独りぼっちということです。

 

さて、あなたはこの島に住むことを希望するでしょうか?

 

終末期の後悔が示す幸せのヒント

 

皆さんは、『死ぬ瞬間の5つの後悔』という本をご存じでしょうか。

 

オーストラリアのホスピス(緩和ケア)で働いていたボニー・ウェアという看護師の方が書いた本で、世界中でベストセラーになった本だそうです。

 

このボニー・ウェアさんによると、終末期の患者さんの多くが最後に語る想いが、下記の5つだそうです。

 

  1. もっと自分らしく生きればよかった
  2. あんなにガムシャラに働かなくてもよかった
  3. 言いたいことをはっきりと言えばよかった
  4. もっと友達と連絡を取ればよかった
  5. もっと自分の幸せを追求すればよかった

 

仕事に多くの時間を費やし、人から評価されるために自分の気持ちを押し殺しながら生き、もっと自分に素直に、やりたいことをやればよかった、もっと家族や友人と過ごす時間を持てばよかったという想いに、多くの人がいたるようです。

 

一言でいえば最初の言葉にあるように、「もっと自分らしく生きればよかった」ということではないかと思います。

 

ここに、「人間にとってもっとも幸せな状態とはどんな状態か」という問いに対するヒントがあると思います。

 

社員も経営者も幸せにするカギ = 自己実現

 

人間にとって、生きていくということ、生存していくために活動をしなければならない、つまり仕事をするということは必要なことですし、そのために一生懸命になることはとても尊いことだと思います。

 

ただ、どんなに仕事で業績を上げ、名声を得て、富を築いたとしても、それだけでは幸福感は得られず、人間にはそうした生存のために必要なことを超えた、単純に「自分らしく生きたい」という根源的とも言える欲求を持っています。

 

自分らしく生きるとは、自己実現を追求する生き方と言い換えることができると思いますが、自己実現とは、どんな小さなことでもいいのですが、自分の心の底から純粋にこうでありたい、こうであってほしいと思うことの実現に向けて、自分が納得できる行動や挑戦ができている状態を言うと思います。

 

そんな自己実現ができている状態のときに、人はもっとも幸せを感じ、そうした生き方を追求することができた人生を幸せだったと思えるのではないかと思います。

 

大谷翔平選手は、誰よりも速いボールを投げ、誰よりもたくさんのヒットやホームランを打ち、誰よりも早く走り、同時にチームに貢献できる自分になりたいと思っているのではないかと思いますし、完璧ではなくてもそこに向かって挑戦できている自分に喜びや幸福を感じ、とても充実しているように見えます。

 

したがって、「人間にとってもっとも幸福な状態とは、自分が本当に望んでいることを見つけ大切にし、その実現に向かってしっかりと歩めていること、つまり自己実現できている状態である」ということができるのではないかと思います。

 

自己実現の源泉は「人」

 

人間にとってもっとも幸福な状態 = 自己実現ができている状態 = 自分が本当に望んでいることの実現に向かっている状態になるための最大のポイントは、あたりまえですが、自分が純粋に何を望んでいるのかを知ることです。

 

ただ、自分が本当に望んでいることを明確に知っている人は決して多くはないと思います。

 

ある意味、自分が本当に望んでいることを見つけることが人間にとっての本質的な成長であり、人生の目的と言ってもいいかもしれません。

 

医療業界でのカウンセリングの権威である、元筑波大学大学院教授の宗像恒次氏は著書の中で、人間には

 

人から認められたい、愛されたいという「慈愛願望欲求」

人の評価に関わらず、自分が自分を信じ認め愛したいという「自己信頼欲求」

人を無条件に認め愛したいという「慈愛欲求」

 

という「心の本質的欲求」があると言っています。

 

そして、特に医療従事者に対して、「人からどう思われるかで行動する」他者報酬追求型行動だけではなく、学習、創意工夫、チャレンジなど「楽しいかどうかで行動する」自己報酬追求型行動ができるようになって欲しいと言っています。

 

まさに、自分が本当に望んでいること、心から楽しいと思えることに意識を向けて、行動して欲しいと言ってます。

 

そして、自分が本当に望んでいること、心から楽しいと思えることは、人に愛されたい、自分を愛したい、人を愛したいという自分を含めた人とのかかわりの中にあることを示唆しています。

 

どんなに自由に贅沢を満喫できる南の島に住んでいたとしても、生きていくことを心配しなくていい安心感は得られるかもしれませんが、独りぼっちだとしたら、多くの場合は生きる張り合いや幸福感は生まれないのではないでしょうか。

 

もし何でも手に入るけど人だけがいないという状況に置かれたとしたら、大っ嫌いな人でもそばにいてくれた方がいいと思うかもしれませんね。

 

自分の本当に望んでいることの見つけ方

 

自分が本当に望んでいること、心から楽しいと思えることを見つけることが、自己実現を追求する出発点になります。

 

ではどうやってその自分が本当に望んでいることや心から楽しいと思えることを見つけたらいいのでしょうか。

 

ポイントは、自分が理由なく、単純に「わくわくすること」「うれしくなること」に敏感になり、自覚的になることだと思います。

 

夕日の沈む光景やエメラルドブルーの海を眺めること、無心でスキーやサーフィンをすること、笑顔や人々が仲良くしている様子を見ること、子供の成長、こうしたらお客様の役に立つのではないかとアイデアがひらめく瞬間、家族や友人、ペットと過ごしている時間、何かを真剣に成し遂げようとしている人の姿に触れることなどなど。

 

自分の中にある、生存していくための損得勘定を抜きにしたわくわくすること、うれしくなることをできるだけたくさん見つけ、意識を向けていくと、自己実現につながるような自分が本当に望んでいること、心から楽しいと思えることが浮かび上がってくると思います。

 

多くの人は普段、自分の中に息づいている、単純に自分がわくわくすることやうれしくなることに意識をむけていないですし、逆に生きていくためにはそうした想いはじゃまになると思い、なるべく見ないようにしていると考えている場合もあります。

 

自分の中に、自分を本当の意味で幸せにする種がたくさんあるのに、そこに意識を向けないのはとてももったいないと思います。

 

自己実現を後押しし合う経営

 

社員も経営者も、製品やサービスを買ってくれるお客様も、取引先も、みんな幸せになりたいかからあなたの会社と関わっているわけですし、幸せになるとは自分が本当に望んでいることや心から楽しめることを実現することですので、仕事や事業をとおして関わる人の自己実現を後押しできる経営が理想です。

 

そして、社員、取引先、お客様、経営者の自己実現を同時に叶える経営を実現できれば、社内にwin-win-winの好循環が生まれ、持続的な高い業績の実現につながると思います。

 

この経営を私たちは「ホンモノの理念経営」と呼んでいます。

 

社員の自己実現を後押しして幸福度が高まると、社員が取引先やお客様の自己実現を後押しして取引先やお客様の幸福度を高めることになり、そうすると売上や利益も高まり、経営者は取引先やお客様に喜んでもらえるとともに業績も高まるので自己実現ができ、さらに社員の自己実現を後押しし幸福にしようとするという好循環です。

 

弊社は、社員の皆さん自身が本当に望んでいることや心から楽しめることを明確にし、それを仕事や会社をとおして実現する目標設定のプログラムを用意しています。

 

また、社員、取引先、お客様、経営者の自己実現を後押しして幸福度を高め、社内に好循環を生み出し、高い業績も同時に実現する「ホンモノの理念経営」のお手伝いもしています。

 

「ホンモノの理念経営」については、こちらの記事もご覧いただければと思います。

 

まずは御社の“社員の皆さんが本当に望んでいること”を明確にする簡単なワークとはどんなものか、社員、取引先、お客様、経営者の幸福度を高めて、社内に好循環を生み出す「ホンモノの理念経営」とはどのような経営なのかについて事例を交えてご紹介できればと思っていますので、ぜひお気軽にご相談ください。

 

 

当社では、それぞれの企業の人材や組織に関わる課題解決の方向性を整理する個別相談を行っています。

こんな課題があるんだけど、何から手をつけたらよいかわからないというような場合は、一緒に課題を整理して最重要課題を見つけ、どのような解決策をどんな順番で取り組んだらよいかを見出すサービスです。

お気軽にお問い合わせください。

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