受付時間:月~金9:00~18:00

OKRを軸に、主体性と信頼があふれる組織づくり ~ 社員に対して、本来すべき当たり前の働きかけを当たり前にする経営 ~

 
この記事を書いている人 - WRITER -

はじめに

 

先日、「OKRを軸に、主体性と信頼があふれる組織づくり」というオンラインセミナーを開催させていただきました。

 

いま多くの職場で起きている疲弊は、単に忙しさ(労働時間)だけが原因ではありません。

 

目的が曖昧で、自分で決められず、相談しづらく、失敗が怖い――。

 

こうした“当たり前の不足”が、社員の主体性と信頼をじわじわ奪い、結果としてエンゲージメントを下げています。

 

このセミナーでは主に、

 

  • なぜ日本人のエンゲージメントが世界最低水準なのか
  • 社員のエンゲージメントを高める最大のポイントは何か
  • 社員のエンゲージメントを高める「5つの組織基盤づくり」の具体的な内容

 

についてお話ししました。

 

ご参加いただいたのは人事部門の責任者や担当者の皆さんで、次のような感想をいただきました。

 

(ソフトウェア F様)

勉強になりました。OKRの4月実施を目指しておりますが、その他の評価制度と並行して行う予定の為、現場の負担が増える一方ではとコメントがあり、どう進めたものか迷っています。自部門のトライアル運用で前向きな意見は出ておりますが、あらためて体系的に教えていただき、良い制度だと自信を持って伝えていこうと思いました。

 

(エネルギー O様)

自身の業務にとても関連性が高く、実際の業務に活用できると思いました。また、なかなか言葉で定義が難しい課題を根拠のある資料とともに講義いただきましたので大変有意義な時間でした。このような機会を設けていただき感謝申し上げます。

 

(ゲーム・アミューズメント H様)

非常に分かりやすい内容でした。

 

参考にしていただけたようで、うれしい限りです。

 

参加された皆さんとお話しする中で強く感じたのは、主体性・信頼・エンゲージメントといった“内面的でデリケートな課題”に直面している企業が非常に多い、ということです。

 

そしてセミナーの中でも触れましたが、日本の企業は諸外国と比べても、社員に対して本来すべき「当たり前の働きかけ」が圧倒的に不足しているように思います。

 

たとえば、方針(目的・戦略・優先順位)を明確にして共有する、安心して働ける労働条件を整える、マネジャーがメンバーと目標を対話で定めて伴走する、心理的安全性を育てる、成長を後押しする――といった働きかけです。

 

本記事では、セミナーでお話しした内容を整理しながら、「エンゲージメントを高めるポイントは何か」「具体的にどんな組織づくりに取り組めばよいのか」を、実務に落ちる形でお伝えします。

 

今企業が注力すべき最重要課題は何か?

 

では、いま企業は何に注力すべきなのでしょうか。

 

企業を訪問して経営者や人事の皆さんとお話しすると、当然ながらさまざまな課題が挙がります。

 

採用、人事制度、育成、生産性、業績、定着――どれも重要で、優先順位をつけるのが難しいと感じている方も多いのではないでしょうか。

 

2024年度、当社では全業種・従業員規模20~100名を中心とした中小企業88社を訪問し、実際に感じていらっしゃる経営課題をヒアリングしました。

 

その結果を、課題を感じている企業数が多い順に整理したものが、以下のランキングです。

 

  • 人材採用(67%)
  • 人事制度の整備(47%)
  • 社員の専門性やスキルのアップ(34%)
  • 生産性向上・業務効率のアップ(25%)
  • 売上のアップ・販路拡大(25%)
  • 社員の定着(24%)
  • 新規事業・新製品開発(19%)
  • 社員のモチベーション・エンゲージメントのアップ(19%)
  • 社員の高齢化・年齢構成の偏り(18%)
  • 管理職・マネジャーの育成(11%)

 

この上位10の課題を俯瞰してみると、大きく2つのニーズに集約できるように思います。

ひとつは「事業の質を高め、拡大していきたい」というニーズ。

 

もうひとつは「人材を確保し、定着させ、力を発揮してもらいたい」というニーズです。

 

そして、この2つを同時に、かつ複合的に解決する起点になるのが「社員のエンゲージメントを高めること」だと私は考えています。

 

なぜなら、社員のエンゲージメントが高まると、社内に好循環が生まれるからです。

 

この好循環が生まれると、先ほど上がっていたような様々な経営課題を複合的に解決できる可能性が高まり、その起点が社員のエンゲージメントの高まりです。

 

社員のエンゲージメントが高まると、組織の創造性や生産性が高まり、ミスや失敗などが減り、転職率や離職率が下がることがほぼ証明されています。

 

つまり社員のエンゲージメントが高まると、次のような好循環が生まれます。

 

社員のエンゲージメントのアップ

創造性・生産性のアップ

自社らしい独自の価値の提供

顧客満足度のアップ

売上・利益のアップ

会社の魅力度のアップ

社員の定着率・人材の応募率のアップ

会社の持続的な成長・発展

社員のエンゲージメントのアップ

 

この好循環の中で、数々の課題が関連しながら改善していく可能性が高まるのです。

 

ですから、社員のエンゲージメントを高めることに注力することが、遠回りの様で、実は経営課題を解決するもっとも効果的な取り組みだと考えています。

 

なぜ日本人のエンゲージメントが世界最低水準なのか

 

では、日本人のエンゲージメントの状況はどうなのでしょうか。

 

結論からいうと世界最低水準なのです。

 

ギャラップ社の国際的な調査(2023年)によると、日本人でエンゲージメントの高い社員の割合は、平均でたったの6~7%です。

 

日本人の93~94%が、仕事に熱意を感じられないまま働いているということになります。

 

この割合は調査開始の2012年からほとんど変わっておらず横ばいの状態です。

 

ちなみにアメリカのエンゲージメントの高い社員の割合は、平均で30~35%です。

 

世界全体では、エンゲージメントの高い社員の割合の平均は21~23%で、徐々に割合が増えています。

 

このことから、日本以外の国では社員のエンゲージメントを高める取り組みを継続的に行ってきているのに対して、日本は社員のエンゲージメントを高める働きかけをしていない、あるいは本質をとらえたエンゲージメント向上策を取れていないということになるのではないかと思います。

 

では、日本人のエンゲージメントが極めて低い理由は何なのでしょうか。

 

調査を行ったギャラップ社が挙げているのは、下記の2つの要因です。

 

  • 自分が求めていることと会社が目指していることが重なっておらず、仕事に意味や価値を感じられない。
  • 自分の個性や強みなどが仕事で活かされていない。

 

つまり、日本人は仕事をとおして自分がやりたいこと、意義を感じていることがほとんどできていない、そして自分の強みを仕事で活かせるように配慮されていないということになります。

 

さらに加えて、日本人のエンゲージメントが低い理由として、下記の3つの要因が考えられます。

 

  • 仕事をする上で自分で決定できる自由度が低い。
  • 人間関係が希薄で、孤立しがち。上司や同僚からの支援もなかなか得られない。
  • 寛容さが低く、失敗やミスを責める傾向がある。

 

これをみると、日本人は世界でもっとも勤勉に働いているのに、多くの日本人が自分のために働いている割合が諸外国と比べて極めて低く、他人や他人が求めていることのために働いていて、なおかつ上司などからなかなか助けてもらえず、ほめられずに叱られる環境にいるということになります。

 

これでは疲弊してエンゲージメントが最低水準にとどまっていることは当然と言ってもいいかもしれません。

 

逆に考えると、社員に対する当たり前の働きかけを当たり前に行い、日本人のエンゲージメントを少なくとも世界の平均レベルに持っていくことができれば、勤勉な日本人ですから、その創造性や生産性、業績などのパフォーマンスの劇的な向上が期待できるのではないかと思います。

 

社員のエンゲージメントを高める最重要ポイント

 

社員のエンゲージメントを高めるためには、社員の基本的なニーズを満たしてあげることが最大のポイントです。

 

お客様のニーズを、他社とは差別化されたユニークな製品やサービスでしっかりと満たしてあげると、お客様は喜んで、その製品やサービスのファンになり、自社を好きになってくれて、SNSなどで自発的に宣伝するなど、とてもエンゲージメントの高い状態になります。

 

これを顧客エンゲージメントと言いますが、社員のエンゲージメントも同じで、社員が人生や仕事をする上で求めている基本的なニーズ(欲求)を丁寧に満たしてあげると、社員は会社に愛着を感じ、この会社に貢献したいというエンゲージメントを高めます。

 

それでは、社員が人生や仕事をとおして求めている基本的なニーズとは何なのでしょうか。

 

弊社では下記の4つだと考えています。

 

  1. やりがい
  2. よい人間関係
  3. 成長
  4. 安全・安心(お金)

 

人は、究極的には、自分にとって意味あることをしたい、人とよい関係を結びたい、よいつながりを持ちたいという2大欲求を持っています。

 

人はこの2大欲求である「やりがい」と「よい人間関係」をさらによく実現するために、「成長」と「安全・安心(特にお金)」が必要だと考えているようです。

 

ですから、社員のエンゲージメントを高めるためには、まず「やりがい」と「よい人間関係」の両方を満たしてあげようとすることがもっとも重要で、やりがいはあるけど人間関係がよくない、逆にやりがいはないけど人間関係はよいというふうにどちらかが満たされていない場合はエンゲージメントは高まりません。

 

私の例で恐縮ですが、私が以前働いていた会社で人事業務全般を担当していたのですが、会社をよくしていきたいという使命感に燃えて、人事業務に本当にやりがいを感じていたのですが、その会社は経営トップのワンマン経営で、幹部全体にもパワハラ体質があり、私自身は経営者や幹部とのよい関係を結ぶことができませんでした。

 

成長実感もあり、給与水準も高く、基本的な4つのニーズのうち3つが高いレベルで満たされていましたが、2のよい人間関係が成立していなかったので、18年も働きましたがその会社に対して愛着を感じることはできませんでした。

 

ですから、「やりがい」と「よい人間関係」を満たすことができれば、「成長」と「安全・安心(お金)」は多少不十分であっても、社員のエンゲージメントを高めることができると思います。

 

そして、この社員の「やりがい」「よい人間関係」「成長」を満たすのに非常に効果を発揮するのが、OKRという目標管理の仕組みです。

 

それでは、OKRとはどんな仕組みなのか、おさらいをかねて見ていきましょう。

 

OKRとはどんな目標管理の仕組みなのか

 

OKRは、1つの目的(O:Objective)と2~5つに絞り込まれた重要な結果指標(KR:Key Results)で構成されています。

 

目的(O)は、今期実現したい理想的な状態を定性的に表したもので、活動の方向性や理由を表します。

 

重要な結果指標(KR)は、その目的を実現するためにどんな状態を達成したいのか、その状態を定量的に表したものです。

 

OKRは、理想を実現したいという想いを持ちながら、具体的な現実をつくっていく、「理想」と「現実」をバランスよく追及する仕組みです。

 

ここがOKRの優れたところで、OKRは社員のモチベーションを保ちながら、絞り込まれた具体的な課題に力を結集する仕組みなので、シンプルでありながら、着実に自分たちの成長と成果を生み出していくことが可能です。

 

OKRは、自分たちで目標を設定する、今できていることとできていないことを客観的に振り返る、今何が重要課題なのかを見極める、次のアクションを決めるというPDCAサイクルが回り、マネジャーとメンバーでコミュニケーションを取りながら運用していくので、OKRがうまく機能すると下記のような優れた、複合的な効果が生まれるはずです。

 

  1. 経営方針(パーパス、中期ビジョン、経営戦略)が社員に浸透する
  2. 自分たちでPDCAサイクルを回すので、メンバーまたはチームの自律性・主体性が高まる
  3. マネジャーのリーダーシップ、マネジメント力が高まる
  4. メンバー一人ひとりが自分の仕事に意味や意義を感じることができるようになる
  5. マネジャーとメンバー、メンバー同士のコミュニケーションが増え、チームワークが生まれる
  6. 着実な成果と成長を生み出すことができる

 

これらが実現することによって、社員に「やりがい」「よい人間関係」「成長」を実感させることができるので、OKRは社員のエンゲージメントを高めることにとても効果の高い仕組みだと思います。

 

ただ、OKRを導入しただけでこれらの効果を生み出せるものではなく、OKRをうまく機能させるために、OKRを取り巻く組織基盤を統合的に整えていく必要があります。

 

それが、社員のエンゲージメントを高める「5つの組織基盤づくり」です。

 

社員のエンゲージメントを高める「5つの組織基盤づくり」

 

この社員のエンゲージメントを高める「5つの組織基盤づくり」で重要な点は、社員のエンゲージメントを高めるということだけではなく、同時にお客様や社会の人びとに自分たちらしい独自の価値を提供することを意識した、統合的な組織づくりをデザインすることです。

 

「5つの組織基盤づくり」に取り組むプロセスは下記のとおりです。

 

  1. 目的の共有:会社全体で目指す理想とその実現方法の明確化・共有
  2. 主体的な実行体制:自分たちで目標を設定し、主体的に「現実」をつくっていくOKRの導入・運用
  3. 心理的安全性:信頼し合い、協力し合う組織風土づくり
  4. 成長の後押し:マネジャーによるメンバーの自律的な働き方を促すマネジメントの実現
  5. 経済的・身体的安全性:生活に不安が無く、健康で、働きやすい労働条件の整備

 

1と2で「やりがい」を、3で「よい人間関係」を、4で「成長」を、5で「安全・安心(お金)」を社員に実感させることができ、社員の幸せな働き方が実現し、社員のエンゲージメントを高めることができます。

 

そして社員のエンゲージメントが高い状態で、1の目的の共有と2の主体的な実行体制を整えることができれば、お客様や社会の人びとに対する独自の価値提供が実現します。

 

この「5つの組織基盤づくり」を1から順番に取り組んでいけば、社員の「幸福な働き方」と会社としての「独自の価値提供」が同時に実現する素晴らしい経営を実現でき、持続的に成長し、発展する会社になることができます。

 

ただし、この「5つの組織基盤づくり」を短期間に全部実現しなければならないということではありません。

 

1と2の整備に以前よりしっかり取り組むことができるようになれば、それだけで社員のエンゲージメントが高まります。

 

ただ、1と2がしっかり運用できているのに社員のエンゲージメントが高まらないということであれば、心理的安全性が低い可能性があるので、同時に3にも取り組みます。

 

ですから、この「5つの組織基盤づくり」ではまず1~3の組織基盤をしっかりと固めることを目指すとよいと思います。

 

そうすると社員のエンゲージメントが相当上がりますので、1~3の組織基盤が安定的に整備されて、余裕がでてきたら、少し難易度の高い4のマネジャーの育成に取り組むとよいと思います。

 

そして、社員のエンゲージメントが高まると当然収益にもよい影響が生まれますので、利益の水準に合わせて5の経済的・身体的安全性を充実させていけばよいと思います。

 

企業の状況に合わせて無理のない組織基盤整備を進めていけばよいのですが、外せないのはまず1~3の組織基盤づくりで、社員に対する当たり前の働きかけ(経営方針を明確にする、経営方針を社員が主体的に実現する実行体制をつくる、信頼し合い協力し合う組織風土をつくる)を当たり前にできる組織をつくることです。

 

それだけで、社員のエンゲージメントは相当高まり、社内に勢いと活気が生まれます。

 

まとめ

 

本記事では、OKRを軸に、主体性と信頼があふれる組織づくりについてお伝えしてきました。

 

いま多くの企業が直面している、人材採用・定着、生産性向上、社員育成、業績向上といった経営課題は、個別に対処しようとすると複雑で、負担も大きくなりがちです。

 

しかし、これらの課題はすべて「社員のエンゲージメント」という一点を起点に、複合的に改善していくことが可能だと考えています。

 

社員のエンゲージメントが高まると、創造性や生産性が高まり、仕事の質が向上し、結果としてお客様や社会に対する自社らしい独自の価値提供が実現します。

 

その積み重ねが、企業の魅力度を高め、人材の定着や応募につながり、持続的な成長と発展を生み出していきます。

 

社員のエンゲージメントを高めるために重要なのは、特別な施策や奇抜な制度ではありません。

 

社員が仕事や人生をとおして求めている基本的な4つのニーズである「やりがい」「よい人間関係」「成長」「安全・安心(お金)」を、日々のマネジメントや制度運用の中で、丁寧に満たしていくことです。

 

そのための実践的な枠組みが、本記事で紹介した「5つの組織基盤づくり」です。

 

  1. 目的の共有
  2. 主体的な実行体制(OKRの導入・運用)
  3. 心理的安全性
  4. 成長の後押し
  5. 経済的・身体的安全性

 

これらはすべて同時に整えなければならないものではなく、まずは1~3の組織基盤をしっかりと整えることが重要です。

 

社員に対して本来すべき当たり前の働きかけを、当たり前に行える状態をつくるだけで、エンゲージメントは大きく高まり、組織に確かな手応えと活気が生まれます。

 

ただし、「当たり前のことを当たり前にやり続ける」ことは、実は簡単ではありません。

 

社内だけで進めようとすると、慣習や力関係、感情的な抵抗によって、形骸化してしまうことも少なくないのが現実です。

 

だからこそ、当たり前の価値を言語化し、実行を支え、継続を後押しする外部の伴走者が有効になる場面があります。

 

私たちは、クライアントの主体性を尊重しながら、OKRと組織基盤づくりを通じて、社員の幸福な働き方と独自の価値提供が両立する組織づくりを支援しています。

 

社員がいきいきと働き、信頼と主体性が自然に循環する組織は、決して理想論ではありません。

 

社員に対して本来すべき当たり前の働きかけを、当たり前に積み重ねていくことで、着実に実現できるものです。

 

当社では、それぞれの企業の人材や組織に関わる課題解決の方向性を整理する個別相談を行っています。

こんな課題があるんだけど、何から手をつけたらよいかわからないというような場合は、一緒に課題を整理して最重要課題を見つけ、どのような解決策をどんな順番で取り組んだらよいかを見出すサービスです。

お気軽にお問い合わせください。

「人材・組織課題カイケツ個別相談」の申込はこちら

この記事を書いている人 - WRITER -

- Comments -

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です