優れたチームワークを鍛え、「強い組織」をつくる
今、「強い組織」が求められている
今、「強い組織」が求められていると思います。
景気変動や技術動向などの外部環境に大きく左右されず、たくましく前進していける組織。
会社を経営する経営者の方や人事担当者の方も、自分の会社や組織が逆境や困難な状況にも立ち向かっていける「強い組織」にしたいと思っているのではないかと思います。
では困難に打ち勝ち、たくましく前進し続けることができる「強い組織」とはどのような組織のことを言うのでしょうか。
一言でいうと、ずばり「共通の目的に向かって、優れたチームワークを発揮できる組織」です。
優れたチームワークを発揮して、世の中から本当に求められる価値(商品やサービス)を提供できる組織のことです。
組織力の強化とは、最終的には「チームワークを鍛え上げること」と言っても良いでしょう。
そのために、共通の目的が不可欠です。
ではまず、優れたチームワークを発揮できる組織を具体的にイメージし、その特徴を見ていきましょう。
優れたチームワークを発揮できる組織とその特徴
皆さんは、「優れたチームワークを発揮できる組織」と言われたら、どのようなチームを思い浮かべるでしょうか?
組織には大きな企業から、2人だけのコンビまでいろいろなサイズがありますし、かなり固定的なメンバーの組織もあれば、一時的に結成されたプロジェクトチームのような組織もあります。
「優れたチームワークを発揮できる組織」と言われてまず思い浮かぶのは、エベレストの登頂を目指し山道を歩く登山隊であったり、サグラダファミリアの建築に携わる建築家や職人の働く様子であったり、指揮者に合わせて演奏するオーケストラの姿であったりします。
そして、最近一番印象に残っているのはラグビーワールドカップで活躍した日本のチームです。
このチームはまるで一つの生き物のようなプレーを何度も見せてくれて、感動すら覚えました。
どのチームのメンバーも、真摯な面持ちで、良い緊張感につつまれているイメージです。
これらのチームに共通していることを上げてみると、下記のようになります。
- チーム全体の共通の目的が明確で、すべてのメンバーが共有していること(エベレスト登頂、サグラダファミリアの完成、感動を与えるシンフォニー、ワールドカップベスト8など)
- メンバーは自分の役割を理解し、自分で考えて、最大限のパフォーマンスを発揮しようとしていること
- ただ、同時に他のメンバーの様子や気配を感じ取りながら、協調して状況の変化に対応していること
- メンバー全員が、胸に秘めた情熱ととんでもない丁寧さで、目的達成のために挑み続けていること
このような良い意味での緊張感のある組織やチームに所属していたら、どんなに誇らしく、やりがいがあるだろうと思います。
企業もこのような組織になったらとても素晴らしいだろうと思いますが、継続的に業績の高い組織はこのイメージに近いのではないかと思います。
チークワークを鍛えるというと、一般的にコミュニケーションを良くすれば良いように思いますが、ことはそう簡単ではありません。
チームワークを良くするためにいくつもの手を打ち、それを継続していかなければなりません。
チームワークを鍛えるためには、必要なことを一つ一つ積み上げて、強固な組織文化をつくり上げた結果として、優れたチームワークが実現し、世の中から本当に求められる価値(商品やサービス)を提供できるようになるのです。
それでは、チームワークを鍛えるために実行しなければならないこととその順番について考えていきたいと思います。
本当に優れたチームワークを鍛える方法
チームワークを鍛えるためには、前提として発想豊かで、自分で自分を律することができる優れた人材を選んだり、採用していく必要があります。
そして、それぞれの組織にとって優れた人材を適切に選び、採用するためには、その組織が本当に大切にしたいことを言葉にした「企業理念」が必要です。
その「企業理念」がその組織にとって優れた人材を選ぶ判断基準になりますし、優れた人材に気づいてもらうキーになります。
そうして選んだり、採用した優れた人材を組織の幹部に据え、その幹部全員で自分たちや自分たちの置かれている状況をありのままに理解した上で、一緒に働く仲間全員がわくわくするような「共通の目的(ビジョン)」を掲げます。
そして、自分たちの組織の現状とビジョンを対比する中で、ビジョンを実現するためのわくわくする目標(定性的な目標+重要な結果指標=目的管理制度(OKR))を幹部やマネジャーが納得し、連携する形で決定します。
全員がわくわくする目標を達成するために協調して行動することを通して、チームワークを鍛えていきます。
これを丁寧に、情熱をもって愚直に続けていくのです。
このプロセスを一覧にすると、下記のようになります。
【チームワークを鍛える本質的な方法】
①組織のトップ(通常は社長)が「理念(本当に大切にしたいこと)」を明確し、言葉にする
〔理念〕
- 企業理念:誰のために、何をしたいのか
- 経営方針:企業理念を実現するために、大切にしたい方針
- 行動指針:メンバーが行動するにあたって、大切にして欲しいこと
②理念に基づいて、「適切な人材」を幹部に抜擢する
- 本当に大切にしたいことの価値観が合うか
- 理念実現のパートナーになれるか
③適切な幹部全員で、「現実(自分たちと自分たちを取り巻く環境)」をありのままに理解しようとする
- SWOT分析
- 3つの円(卓越できる、情熱を持てる、経済的原動力になる)
④適切な幹部全員で、「組織のありたい姿(ビジョン)」を掲げる
- 自社の強みと機会にフォーカスする
- 3つの円が重なる部分から発想する
- ビジョンは、すべてのメンバーがわくわくする「心から実現したいと思う状態」
⑤組織のありたい姿(ビジョン)と現実を対比し、ビジョンを実現するための「わくわくする目標」を全員が連携する形で設定する
- わくわくする目標 = 定性的な目標(目的) + 重要な結果指標 = OKR
- 部門OKR、チームOKR、個人OKRがすべて連動し、全社OKRの実現に結びつく
➅わくわくする目標を達成するための協調行動を通して、チームワークを鍛えていく
自分たちが大切にしたい理念を明確にする、理念に基づいた適切な人材を採用する、適切な人材で現実としっかり向き合った上でビジョンを設定する、ビジョンを実現するためのわくわくする目標を連携する形で設定する、わくわくする目標を協調して実現しようとする中でチームワークを鍛えていく。
これを地道に、丁寧に、根気よく繰り返し、組織力全体を鍛えていきます。
このプロセスを早く始めれば始めるほど、組織はそうでは無い組織より抜きん出ることができるようになりますが、このサイクルが本当にうまく回るようになり、本当に卓越した会社になるには通常は少なくとも数年はかかると見ていた方がいいでしょう。
まさにサグラダファミリアをつくるように、何年もの情熱と根気がいる作業です。
でもこのサイクルを回し続け、自らを鍛え続ければ、どんな状況にも対応でき、生き抜いていける組織になることができるでしょう。
チームづくりは、ある意味アートと言えるかもしれませんが、とても挑戦し甲斐のあることだと思います。
まとめ
優れていると思える人材を集めて、お金を払えば、優れた組織ができるというものではありません。
逆境にもビクともしない優れた組織をつくるためには、しっかりと考えられたやるべきことを、根気よく、丁寧に、たゆまなく実行していく必要があります。
繰り返しになりますが、こうした取り組みをすれば優れた会社への成長が始まりますが、本当に困難にもびくともしない会社になるには通常はかなりの数年がかかると考えてください。
優れた組織づくりは、経営者とメンバーの絶え間ないコラボレーションです。
ぜひ意味ある共通の目的を掲げ、楽しんで取り組んでいただければと思います。
優れたチームワークの組織が一つでも多く生まれ、皆がわくわくしながら働ける機会が劇的に増えることを望んでいます。
今回のコロナ禍は、そうした組織づくりを加速するチャンスです。