人材が集まる、社員のエンゲージメントが高い「本当に魅力的な会社」のつくり方

目次
はじめに
当社のビジョンは、
「働くすべての人が、自分らしく活き活きと輝く世界を実現します」
という少し大それたものですが、本音です。
私は不動産デベロッパーやメーカーで約25年間人事業務を担当しました。
そうした経験の中で一番うれしかったことは、特に自分が採用にかかわった新入社員が、しばらく会わないうちにぐっと大人びて、「今はこんなことを心がけながら仕事をしています!」と話すのを聞き、成長した姿を見たときに、自分がその成長に直接かかわったわけではないのに何とも言えないうれしさを感じたものです。
私が、組織づくりや人材の成長を後押しするビジネスを行うようになった原点です。
仕事は、自分を活かして誰かに喜んでもらう最良のステージですから、本来は誰もが活き活きと輝くような働き方ができてもいいはずなのですが、現実には苦しい、つらいという思いが勝って、どちらかというと後ろ向きな気持ちで働いていることが多いのではないかと思います。
もちろん活き活きと働けないのは、働く人本人に理由がある場合もあると思いますが、多くの場合企業側の組織の状態にあるのではないかと考えています。
そこで今当社では、「人材が集まる、社員のエンゲージメントが高い『本当に魅力的な会社』をつくるお手伝い」をスローガンに、人材の本質的な採用力を高め、社員の定着率やエンゲージメントが高まる一貫性のある組織基盤整備のお手伝いをさせていただいています。
人材に対して入社したいと思わせたり、社員にここで長く働き貢献したいという気持ちにさせる直接的な方法はないと思います。
外部の人材や社員が自然とそうした思いを持つような環境や条件を整えて、そのような意識になるのを待つしかありません。
社員が働く条件や環境を統合的に、丁寧に整え、社員の定着率やエンゲージメントが自ずと高まる経営を実現することが重要です。
人材採用が年々難易度を増し、転職がしやすい状況の中で、社員が本質的に魅力を感じる会社になることがますます重要になってきていると思います。
その組織づくりの最大のポイントは、企業理念を軸に、人を中心にすえて大切にし、質の高い優れた価値を提供し続けようとする、一貫性のある「ホンモノの理念経営」を追求していくことではないかと思います。
今回の記事では、この「人材が集まる、社員のエンゲージメントが高い『本当に魅力的な会社』のつくり方」について、順を追ってお伝えしたいと思います。
人材確保ができるかどうかがカギ
弊社は毎年100社近い中小企業を訪問してその経営課題についてインタビューを行い、公的機関が提供する、専門家派遣を含めた支援メニューをご紹介するサービスも行っています。
中小企業の経営課題の主なものは、売上を拡大するための販路開拓、新製品や新規事業の開発、海外展開、事業承継、DXを含む生産性の向上、人材採用、人材定着のための組織体制・人事制度・教育体系の整備、ハラスメント・メンタルヘルスへの対応など様々です。
その中で多くの企業が最重要課題と考えているのが、人材採用です。
訪問した企業の約70%が人材採用に課題を感じています。
過去の記事でも何度かお伝えしてきましたが、人材の採用が年々難しくなっているのが実情です。
大企業を中心とした安定した顧客を持ち、長年にわたって着実な経営をしてきた優良中小企業であっても、過去には採用に苦労したことが無かったのに、ここ数年でさっぱり人材を採用できなくなってしまったという企業も結構あります。
多くの企業で、仕事はあるのに、それに見合った人材が確保できていないのです。
今後企業が存続していくためには、人材を安定的に採用し、その人材がしっかりと定着する人材確保力が何よりも重要になってきていることは皆さんも実感されていると思います。
社会的にとても有意義な事業を行っていて、業績が好調に推移している優良な会社であっても、もし必要な人材を確保できなければ事業を縮小せざるを得ない、継続できないという最悪の事態も考えられるようになってきました。
今M&Aで企業を買収する第一の目的は、事業の拡大や新規分野への進出ではなく、人材の確保になってきているほどです。
では人材を確保する採用力や定着率を中長期的に高めるにはどうしたらよいのでしょうか。
一言でいうと、自社を社員がここで長く働き貢献したいと思うような「本当に魅力的な会社」にすることだと思います。
人材が集まる、社員のエンゲージメントが高い「本当に魅力的な会社」とは
もちろん、お金を使って人材採用力を技術的に高めることもとても重要ですが、採用した人材がしっかり定着する会社でないと、人材を確保、維持、増員することはできません。
したがって人材を確保する力を高めるには、社員が自然にモチベーションを高め、ここで長く働き貢献したいと思うような、エンゲージメントの高い「本当に魅力的な会社」になる必要があります。
ちなみに、日本エンゲージメント協会によると、社員エンゲージメントとは「仕事を自分事と感じ、楽しみ、組織に貢献しようとする社員の自発的な姿勢・行動」と定義しています。
自社が社員のエンゲージメントが高い「本当に魅力的な会社」になることができれば、外部の人材も当然魅力を感じるようになり、自ずと人材を採用する力も上がっていきます。
それでは、「本当に魅力的な会社」とはどんな会社なのでしょうか?
単純に言えば、「企業理念にもとづいて一貫性のある経営をしている会社」です。
人は、一貫性のあるものを信頼します。それがいわゆるブランドですよね。
人は一貫性のあるものを信頼し、愛着がわき、長く付き合っていきたい。良い関係を保ちたいと思うものです。これをエンゲージメントの高い状態と言ってよいのではないでしょうか。
そうした社員が信頼を抱き、惹きつけられる「本当に魅力的な会社」になるためには、2つの一貫性が必要です。
1つは、会社がお客様や社会の人びとが求めている質の高い優れた価値(製品やサービス)の提供を追求し続けようとすることです。
そしてもう1つは、会社が社員の想いや欲求を大切にし、内側からのモチベーションやエンゲージメントを高め、組織全体の創造性や生産性が高まる環境を真摯に整えようとすることです。
「そりゃそうだよ、世の中に対して価値あるビジネスを追求していて、社員が主体的に創造性の高い仕事できることに心を配っているなら、魅力的な会社だし、人材も確保できるよね。」
でも、そうなのです。
日本で一番大切にしたい会社大賞受賞企業やホワイト企業大賞受賞企業などの優良企業の中でも人材確保に苦労していない企業は、やはり人を特に社員を大切にすることを軸にしながら、価値ある製品やサービスを並々ならぬ努力で提供し続けています。
一貫性があるのです。
たとえば、ネッツトヨタ南国という高知県の優良企業は、「全社員を勝利者にする」というミッションのもとに、社員が人間的に成長することを経営の中心に据えながら、トヨタ系のディーラーで13年連続で顧客満足度No.1に輝く、お客様に本当に喜ばれる、社員が主体的に考えたサービスを提供し続けて発展しています。
また、三和建設という大阪の地場のゼネコンは、「つくるひとをつくる」というミッションを掲げ、価値を生み出すのは社員だからその価値をつくるひとをつくること、つまり社員が成長し活躍することをもっとも大切なことと位置づけ、社内の仕組みをすべて「つくるひとをつくる」という人材育成につながるように一貫性のある経営をしています。
そして、事業を展開するにあたっては誠実をモットーとし、社員が後ろめたい思いをせず、誇りを持って働けるように、法令を遵守しながら、お客様へのお役立ちを徹底的に追求しています。建設業という不人気業種でありながら、毎年一定数の新卒社員を採用し続けています。
2社とも、この採用難の時代に全くとは言いませんが採用にはあまり苦労しておらず、社員の定着率もほぼ100%に近い状態です。
ですから、必要な人材を確保できる力を高めようと思ったら、社員を大切にし、その幸福度を高めながら、お客様や社会から求められる本当に価値ある製品やサービスを提供し続けることができる、一貫性のある、「本当に魅力的な会社」になることが必須条件だといってもいいと思います。
それでは、その起点となる社員を大切にし、仕事をとおして幸福度を高めるためにはどうしたらよいのでしょうか。
そのためには、まず人間の本質的な欲求とはなんなのかをしっかりと理解する必要があります。
社員の本質的な4つの欲求を満たし、エンゲージメントを高める経営が必要
自社を人材が集まる、社員のエンゲージメントが高い「本当に魅力的な会社」にするためには、社員が働くことをとおして幸福度を高める経営をする必要がありますが、それでは社員の満足度を高めるためにはどうしたらよいのでしょうか。
それは、人間が持つ本質的な4つの欲求を仕事をとおして満たしてあげることです。
弊社では企業の組織基盤整備の支援を行うときには、ほぼ必ずその支援企業の社員の方にインタビューをさせていただきます。
主に会社に対するエンゲージメントの状態を明らかにする40項目あまりの質問を、1人1時間から1時間半ぐらいかけて問いかけさせていただきますが、そのインタビューの最後に必ずするのが「あなたが自分の人生を充実した、楽しいものにするためにもっとも重要なもの、必要なことは何ですか?」という質問です。
インタビューを受ける方が人生を送る上でもっとも大事にしていることは何かについてお聞きしているわけです。
そして、その答えとして出てくるのが主に下記の4つです。
- 仕事のやりがい
- 同僚・友人・家族とのよい関係
- お金
- 成長
インタビューをさせていただいた皆さんが特に重視されているのは、最初の2つの「やりがい」と「よい人間関係」です。
そしてこの2つをより有意義なものにするために、「お金」と「成長」が必要だと考えているようです。
様々な企業でインタビューをさせていただいていますが、ほぼ上記の4つがお約束のように出てきますし、重要度もほぼ同じです。
ですから、弊社では上記の4つのことを、人間の幸福度を高める「本質的な4つの欲求」を呼んでいて、この欲求を満たす経営を実現できれば、社員のエンゲージメントを高めることができ、社員同士の協力関係や創造性が高まり、その協力関係や創造性を会社が適切に方向づけする仕組みを整えることができれば、お客様や社会が求めている価値ある製品やサービスを提供できるようになり、人材が集まる、社員のエンゲージメントが高い「本当に魅力的な会社」になることができると考えています。
社員がやりがいを感じながら、気持ちのよい仲間と働くことができ、成長を実感し、経済的にも身体的にも安心できる環境があれば、社員のエンゲージメントが高まり、創造的な会社になることができるはずです。
米イリノイ大学心理学部名誉教授であったエド・ディーナー氏らの論文によると、幸福度の高い社員の創造性は3倍、生産性は平均で31%、売上は37%高いという傾向が出ています。
それでは、人間の本質的な4つの欲求を満たし、質の高い優れた価値を生み出す経営を実現するには、具体的にどのような内容と手順で組織基盤の整備を進めていったらいいのでしょうか。
人材が集まる、社員のエンゲージメントが高い「本当に魅力的な会社」のつくり方
社員の本質的な4つの欲求を満たすことによって幸福度を高め、会社として質の高い優れた価値を生み出し続けけることができるようになれば、当然外部の人材はその会社を信頼し、魅力を感じて入社し、ここで長く働きたいと思う、本当にいい、素晴らしい会社になることができます。
そうしたいい会社、素晴らしい会社をつくることができれば、人材は自ずと集まってきて定着し、人材確保に悩むことは圧倒的に少なくなるはずです。
人材を確保する力とは、「一貫性のある本当に魅力的な会社になる力」と言ってもよいかもしれません。
それでは、そうした社員のエンゲージメントが高い「本当に魅力的な会社」をつくるにはどうしたらいいのでしょうか。
人間が持つ本質的な4つの欲求を満たし、世の人びとに対して優れた価値を提供し続けられる会社をつくる訳ですから、何か一つのこと、たとえば人事制度や教育を整備すればそれでいいという訳ではなく、いくつかの組織基盤づくりを組み合わせた一貫性のある取り組みが必要になってきます。
その社員の幸福度を高め、質の高い価値を提供し続けるための一貫性のある組織基盤整備のプロセスが、下記の5つです。
- 人(社員、お客様、取引先、社会の人びとなど)の幸福を中心に据えた企業理念の明確化
- 企業理念を実現するための一貫した経営方針と目標の設定(やりがい・誇り)
- 同僚どうしのよい関係づくり(よい仲間)
- 社員の自律を後押しするマネジメント(成長)
- 経済的にも身体的にも安心して働ける環境づくり・福利厚生(安心・快適)
上記の5つのことを順番に、それぞれの関連性・一貫性を踏まえながら丁寧に取り組んでいく必要があります。
上記のことはどの会社でもある程度は取り組んでいると思いますが、ただそれぞれの関連性・一貫性を考えながら有機的に取り組んでいる会社はなかなかないのではないかと思いますし、まだ取り組みが不十分な項目、あるいはまったくまだ取り組んでいない項目があったりすると思います。
それを、それぞれに関連性と一貫性をもたせ、それぞれが支え合い、補完し合うように、統合的な取り組みをする必要があります。
そうすることによって、社員の安心感と幸福度が高まることによって会社全体の創造性が高まり、世の中の人びとが求めている価値を提供することができるようになり、そうした会社の一貫性のある状態に魅力を感じて人材が集まってくるという好循環が生まれます。
その起点になるのが、1.の人の幸福を中心に据えた企業理念の明確化です。
人(社員、お客様、取引先、社会の人びとなど)の幸福を中心に据えた企業理念の明確化
自分たちは、自分たちを含めた世の中の人びとのどんな幸福に貢献するために、どのような役割を果たしたいのか、そのためにどんな価値観を大切にしたいかを明確にしたものが企業理念です。
自分たちを含めてお客様、取引先、社会の人びとなどの幸福に貢献することを明確に謳うことが重要で、人の幸福を何よりも大切にしようとする会社を人々は信用し、魅力を感じます。
企業理念を実現するための一貫した経営方針と目標の設定(やりがい・誇り)
そして、2.の企業理念を実現するための一貫性のある経営方針と目標の設定は、企業の目指す方向と社員の仕事を結びつける役割があり、社員のやりがいや誇りに直結する取り組みです。
企業の活動は企業理念が軸になりますが、企業理念はるか先の未来で実現したい究極の理想やビジョン、価値観ですから、社員が自分の仕事と結びつけて考えることが難しいので、そこをつないであげる必要があります。
まず企業理念を実現するために3~5年後ぐらいに「どんな価値提供ができるどんな会社になりたいのか」を明確にした中期ビジョンを描き、その中期ビジョンを実現するための経営戦略を立案し、その経営戦略を実現するための各部の目標(組織目標)を設定し、その組織目標に社員一人ひとりがどのように貢献するか(個人目標)を明確にします。
このように上流から一貫した経営方針と目標を設定していくと、社員は今自分がやっている仕事が組織の目標の達成につながり、組織の目標の達成が経営戦略の実現につながり、経営戦略の実現が中期ビジョンの実現につながり、中期ビジョンの実現は企業理念の実現に近づいていくという道筋がみえてくるので、お客様への価値提供と社員の目の前の仕事が結びつき、社員は自分の仕事に意味や意義を感じることができ、高いやりがいやこの会社で働く誇りを感じることができるようになります。
ここで、経営方針の実現や目標の達成のための一貫性のある活動をするために、具体的には理想をみんなで追いかける目標管理制度である「OKR」を導入し、しっかり運用していくことがポイントになります。
そして、社員が経営方針を踏まえた目標の達成を目指すことを通じてやりがいや誇りを感じるためにも、3の同僚どうしのよい関係づくりがとても重要になってきます。
同僚どうしのよい関係づくり(よい仲間)
どんなに魅力的な経営方針や目標があっても、同僚との関係がよい状態でなければ、よいアイデアもチームワークも生まれにくいので、社員は思い切り目標に向かっていくことができなくなります。
したがって、社員がやりがいや誇りを感じられるようになるためには、その前提として同僚とのよい関係が不可欠です。
同僚どうしのよい関係を築くためには、お互いを人として尊重し合いながら向き合ってく必要があります。
具体的には、まずしっかりあいさつをし合う風土をつくるということです。
そして次に、上司とメンバー、メンバーどうしの信頼関係を築くことです。そのためには、1on1などをとおして相手をありのままに理解し、尊重し、共感する向き合い方をしていきます。
具体的な向き合い方については、下記の記事を参考にしてください。
↓
ブログ:人と信頼を結ぶためには、まず丁寧に自分と向き合う必要がある
そして、上司とメンバー、メンバー同士の信頼関係を土台に、チームの中で率直に発言できる心理的安全性の高い組織をつくります。
この心理的安全性の高い組織になることができれば、社員同士のコミュニケーションの量と質が高まり、対話の機会が増え、組織として創造性と生産性の高い状態が生まれ、経営方針や目標の達成にすっきりと向かっていくことができるようになります。
社員の自律を後押しするマネジメント(成長)
社員が主体的に判断し、行動するようになれば、仕事から学び、成長していくようになります。
ただ、社員が主体的に判断し、行動できるようになるためには、ただ単に仕事を任せればいいというものではなく、本人の主体性を損なわない形で、必要な方向づけや情報提供、フィードバックなどが必要になります。
社員の主体的な働き方を促すためには、まず社員自身がどんな自分になりたいか、3年後ぐらいのありたい理想の姿(私の3年後ビジョン)を明確にし、周りと共有することが重要です。
そして会社側からも、どんな人材になってもらい、どのように活躍して欲しいかを明確にした、社員の成長と成功を促す人事制度(人事理念や等級制度など)を提示する必要があります。
また、社員が主体的に考え・判断できるように、できるだけ経営や組織のパフォーマンスにかかわる情報を提供してあげます。
そして、社員に仕事の進め方については自分で判断して実行してもらうためには、マネジャーとメンバーの間で、それぞれの仕事ついて、何のために行うのか目的をしっかりと合意したうえで、主にやり方はメンバーに任せることがとても重要です。
そして評価制度に基づいて、定期的に今メンバーは何ができていて何が不十分なのか、マネジャーとメンバーでしっかりとお互いの認識を伝えあって、共有し、今後どうしたらよいか対話することが重要です。
経済的にも身体的にも安心して働ける環境づくり・福利厚生(安心・快適)
これはどちらかというと幸福度を上げる動機付け要因というよりも、衛生要因をいう位置づけになると思いますが、人は生きていく上で安心・快適を求めます。
それが経済的な安心(お金)、身体的な安心(安全に働ける労働条件・環境)、快適さ(オフィスや福利厚生)です。
これらは主に衛生要因なので、多ければ多いほど、充実していればいるほど良いという訳ではないのですが、少ないと感じると社員の不満につながります。
特に、身体的危険、過重労働、心身の健康については、絶対にけがや健康被害が生じないように気を配る必要があると思います。
それ以外の給与水準や福利厚生については業界平均より上を目指して、会社全体の利益額や利益率と相談しながら、経営者がここまではしてあげたいという想いに基づいてできるだけ充実するようにすればよいのではないかと思います。
まとめ
これからは、人材を確保する力が、企業の命運を左右するようになってくると思いますし、もうそうなり始めています。
そこで人材を採用するツールや技術を高めることも重要ですが、より重要なことは社員が会社に魅力を感じ、ここで長く働き貢献していきたいと思うような、エンゲージメントの高い「本当に魅力的な会社」になることが、それこそ本質的で、持続的な効果を生み出す解決策だと思います。
この「本当に魅力的な会社」とはどのような会社かというと、企業理念を軸に一貫性のある経営をする会社です。
具体的には、企業理念にもとづいて社員を大切にし、社員の幸福度が仕事をとおして高まり、その結果として組織の創造性と生産性が高まることによって、世の中の人びとから求められる質の高い優れた価値を提供し続けようとする一貫性のある会社です。
こんな会社になることができるんだろうかと思うかもしれませんが、その理想形に近づくための組織基盤を一つひとつ順番に丁寧に整えていけばよいと思います。
当社では、この組織基盤整備の取り組みを、会社および社員の中期ビジョンの設定がキーになることから、「ビジョンデザイン経営」と呼んでいます。
そのステップが、下記の5のステップです。
- 人(社員、お客様、取引先、社会の人びとなど)の幸福を中心に据えた企業理念の明確化
- 企業理念を実現するための一貫した経営方針と目標の設定(やりがい・誇り)
- 同僚どうしのよい関係づくり(よい仲間)
- 社員の自律を後押しするマネジメント(成長)
- 経済的にも身体的にも安心して働ける環境づくり・福利厚生(安心・快適)
上記をバラバラに行うのではなく、それぞれの関係性と一貫性を考えながら、統合的に取り組むのが重要なポイントです。
1~5は、早ければ2~3年で一通り整備することができるようになると思いますので、そこからそれぞれをさらに磨きあげていくとよいと思います。
人材が集まる、社員のエンゲージメントが高い「本当に魅力的な会社」になるための取り組みは終わりがありません。
常にメンテナンスして、維持・強化していくことが重要です。
良い人生を長く楽しみたいと思ったら、人も自分を磨くことに終わりがないのと同じだと思います。