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経営者がいま感じている主な課題とその対応策

 
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はじめに

 

弊社では、アンケートに回答していただいた企業を訪問し、経営者や幹部の皆さんに経営上の課題を直接お聞きした上で、その最重要課題の解決につながるご提案をさせていただいています。

 

2022年4月からこの取り組みを行っていて、今年度で3年目になりますが、2022年4月から翌年3月までの2022年度は87社、2023年度は88社とほぼ同数の企業を訪問し、事業展開なども含めて会社全般の状況や経営課題について網羅的にお話をうかがっています。

 

こうした活動の中で、今企業の経営者や幹部の皆さんが、どのようなことに課題を感じているのか、傾向が明らかになってきました。

 

大きいテーマとしては、やはり採用難のさらなる深まりです。

 

今回は2022年度と2023年度に訪問した企業の経営者や幹部の皆さんが感じている主要課題についての動向を知っていただくとともに、その課題にどのように対応したらよいかについてお伝えしたいと思います。

 

企業の経営者・幹部が感じている経営課題トップ10

 

このヒアリングにおいて、企業の経営者や幹部の皆さんが感じる課題は、1つの場合もありますが、通常は複数感じていることがほとんどです。

 

課題として上がってきた項目は約30に上ります。

 

それぞれの項目について2023年度の88社のうち何社が課題に感じているか、その上位10の項目の状況と前年度との対比を示しているのが下記の表です。

 

訪問社数 88 87
2023年度 2022年度 増減率
1 人材の採用 65 74% 52 60% 125%
2 人事制度(評価制度・報酬制度・目標管理など)の整備 35 40% 20 23% 175%
3 売上アップ・販路拡大 25 28% 24 28% 104%
4 社員の専門性・スキルのアップ(教育制度の整備) 23 26% 14 16% 164%
5 社員の高齢化 22 25% 17 20% 129%
6 生産性向上・業務効率のアップ(DX含む) 22 25% 14 16% 157%
7 人材の定着 21 24% 17 20% 124%
8 新規事業、新商品または自社製品の開発・販売 19 22% 14 16% 136%
9 就業規則の整備・労務管理(働きやすい労務環境整備含む) 16 18% 0 0% #DIV/0!
10 管理職の教育(リーダーシップ、マネジメント力の強化など) 13 15% 9 10% 144%

 

それでは2023年度のトップ10の項目一つひとつについて見ていきたいと思います。

 

最も関心の高い課題は、やはり人材採用です。

 

2022年度には87社中52社、60%の企業が課題に感じていましたが、2023年度にはさらにその割合が増え、88社中65社、74%の企業が人材採用に課題に感じています。

 

2023年度にさらに採用難が深まったと考えられ、多くの企業で「昨年までは採用できていたが、今年はまだ内定を出せていない」「大手求人サイトに求人を出しているが全く応募者が来ない」などの声を本当によく聞きました。

 

関心の高い課題の2位には、人事制度の整備が上がっています。

 

2022年度は売上アップ・販路拡大が2位でしたが、今年は人事制度整備の方が上位に来ています。

 

3位は売上アップ・販路拡大です。

 

コロナの影響からまだ回復できていない企業もあり、2023年度・2022年度ともに約30%の企業が売上の回復に苦戦している状況です。

 

4位は、社員の専門性・スキルのアップ、教育体系の整備です。

 

2022年度は6位でしたので、ニーズが高まってきていると言えるのではないでしょうか。

 

5位は社員の高齢化、年齢構成の偏りが上がっています。

 

やはり若い社員をコンスタントに採用してこなかった、採用しようとしたができなかった、採用したが早期に辞めてしまうなどの理由で、高齢化が進行しているという状況は多くの企業の課題になっています。

 

6位は、生産性向上、業務効率のアップ(DXを含む)です。

 

人手不足もあり、生産性向上に取り組みたいのだが、資金が足りない、社員が高齢化していて新しい取り組みに対応できないということも多く、必要性は感じているが、後回しになっているというケースも多い状況です。

 

7位は、人材の定着です。

 

一定程度スキルを身につけると転職してしまう、業界が転職が当たり前など、IT系や介護・医療系の業界で多い課題です。それ以外の業界では比較的定着率は安定している印象です。

 

8位は、新規事業、新商品または自社製品の開発・販売です。

 

時代の変化に伴い、需要が減っていく傾向の事業や商品を本業としているケースもあり、できるだけ早い時期での転換を考えている企業も一定数あります。

 

9位は、就業規則の整備・労務管理(働きやすい労務環境整備含む)です。

 

過重労働の是正、働き方改革の一環として課題に感じている企業も多いのですが、社員のモチベーションアップのためにも働きやすい職場環境を実現したいというニーズもあります。

 

10位は、管理職の教育(リーダーシップ、マネジメント力の強化など)です。

 

特に中小企業では管理職の教育を体系立てて行っていないことが多く、管理職がほぼプレーヤーとして働いているケースもあり、改めて教育したいというニーズがありますが、企業の組織力を高めるためには、もっと力を入れてもよい課題ではないかと思います。

 

人材採用を中心に複合的に絡み合う課題

 

上記で企業の経営者や幹部の皆さんが感じる、主要な経営課題についてみてきましたが、事業運営にかかわる売り上げのアップ、生産性向上、新規事業や新商品の開発という課題を除くと、トップ10のうち7つが組織や人材にかかわる課題であることが分かると思います。

 

そして、この7つの組織・人材課題は、それぞれ単独のニーズから出てきた課題ではなく、人材採用を核としながら複合的に絡み合っています。

 

人材採用を強化するため、魅力づけに人事制度や教育制度を整備していきたいというという風に関連していますし、社員の高齢化を是正するために若い社員を定期的に採用できるようになりたい、採用した人材に定着してもらうためにも、管理職の育成や各種制度・規定の整備などを図りたいなど、相互に関連し合う状況になっています。

 

「仕事はたくさんあるのに人材がいないので受注できない」「業績は好調だが、このまま人材が採用できないと事業継続ができなくなるのではないか」などの声を大変よく聞くようになりました。

 

人材採用と人材の定着は密接に関係しながら、必要な人材を確保するということが企業の存続も含めて最重要課題になってきています。

 

人材を安定的に確保していくための重要な視点

 

必要な人材を安定的に確保できるかどうかが、事業継続や企業の存続に直結するようになってきています。

 

実際に、人手不足や後継者の不在によって廃業や倒産する企業が増えてきています。

 

では必要な人材を安定的に確保できるようになるためには、どうしたらよいのでしょうか。

 

通常は、採用のやり方を変えたり、採用媒体を増やしたりして採用力そのものを強化しようとすると思いますが、そうした取り組みが効果につながらなくなってきています。

 

「大手求人サイトを使っているし、人材紹介会社にも頼んでいるけど、ほとんど応募や紹介がなく、採用できない」というお話を本当によく聞きます。

 

それもその状況は年々に深まっているように感じます。

 

また、採用力をあげるために、応募者から見えやすい、人事制度・教育制度、勤務条件、福利厚生などを整備し、充実させたいと考えるケースも多いと思います。

 

こうした内容を見直すことはとても良いことですし、既存の社員の定着を促すうえでは効果が見込めると思いますが、引く手あまたの外部の人材にとっては、人事制度・教育制度、勤務条件、福利厚生が整っているのは当たり前で、残念ながらこの会社で働きたいと思えるような決定的な理由にはつながらないことが多いといえます。

 

では、人がこの会社で働きたい、働き続けたいと思うような決定的な要因とは何なのでしょうか。

 

それは結局は、「ここで働くことが楽しそうかどうか」が決め手になっていると思います。

 

既存の社員の皆さんがイキイキと仲間と楽しそうに働いていたら、自然と人材が集まってきますし、その逆で社員の雰囲気がつらそうだったり、どんよりとしていたりすれば、人材は離れていきます。

 

人はその辺を、出会う面接官やすれ違う社員、その会社のホームページやSNSの雰囲気などから敏感に感じ取ります。

 

したがって、指示ゼロ経営を提唱している経営コンサルタントの米澤晋也さんのいう「仕事は楽じゃないけど、愉しい」という会社をつくる必要があると思います。

 

でもそんな理想的な組織がつくれるのかと思うかもしれませんが、こうした理想に近い「本当にいい会社」「社員満足度の高い会社」にならなければ、今後は人材を安定的に確保することはできなくなります。

 

それでは、どうしたら「仕事は楽じゃないけど、愉しい会社」をつくることができるのでしょうか。

 

そのポイントについて、次に見ていきたいと思います。

 

「楽じゃないけど愉しい」と思える会社をつくる必要がある

 

「楽じゃないけど愉しい」と思える会社とはどんな会社なのでしょうか。

 

お客様に提供する商品やサービスなどの質に対して妥協しない厳しさがあり、そのことによって高いやりがいや成長感、仲間とのチームワークなどの精神的な報酬を味わうことができるような会社だと思います。

 

これはスポーツのチームに似ていて、高い目標を定め、本気で練習に取り組み、試合に臨んでいるスポーツチームは「楽じゃないけど愉しい!」という状態にあるのではないでしょうか。

 

だれに強制されるわけではなく、自ら厳しい練習を乗り越えながら、充実感を得ている集団です。

 

そして、社員やメンバーがこのような状況になるためには、そのような状況になる環境を丁寧に整えてあげる必要があります。

 

人が厳しさに挑戦し、そこから喜びを得るようになるためには、自発性が必要で、その自発性を意図的に引き出そうとしてもそれは無理な話で、環境を整えて、そのような自発性を発揮するようになるのを待つしかありません。

 

社員の自発性、自律性が自然と生まれるようになるためには、企業は主に下記の6つの環境を整える必要があると考えています。

 

  1. 社員が、ワクワク感を感じるような、やる意味のある目標やビジョンがある → やりがい
  2. 社員の意見や相談に積極的に耳をかたむける → 存在承認・心理的安全性
  3. 社員が、目標やビジョンに到達するための方法や努力の仕方を自分で決めることができる → 自己決定
  4. 社員が自分の成長や組織の状況を判断するための重要な情報を提供する →  フィードバック・信頼
  5. 社員の失敗を責めず、次に活かして最後までやり切ることを求める → 果たす責任
  6. 社員が共通の目標に向かって、仲間と切磋琢磨しながら協力し合うことができる → 集団への貢献

 

「楽ではないが、愉しい」と思える会社をつくるためには、社員がモチベーションたかく、主体的に働けるようになる必要がありますが、そのためには少なくとも上記の6つの環境を整えることが必要だと思います。

 

この6つの環境がある程度整えば、社員はそれぞれの矢印の右に書いてある、やりがい、存在承認・心理的安全性、自己決定、フィードバック・信頼、果たす責任、集団への貢献などの精神的な報酬と言えるものを得ることができ、非常に充実した、愉しい仕事ができるようになると思います。

 

社員が自律的に働くようになるための主に6つの環境を整える経営を私たちは「ビジョンデザイン経営」と呼んでいます。

 

この「ビジョンデザイン経営」の具体的な実現方法については、下記のブログを参照いただければと思います。

 

→ 「社員を最大限に活かし、ワクワクする事業を実現するための組織づくり

 

まとめ

 

いかがでしょうか。

 

経営者や幹部の皆さんが感じている主な課題は、皆さんが感じている課題とかなり重なっていたのではないかと思います。

 

今や必要な人材を確保することが事業継続や企業の存続にかかわる最重要課題に躍り出ています。

 

少子高齢化という止めることができない構造的な動きの中で、人材を惹きつけ、必要な人材を確保するためには、世の中の人びとから本当に必要とされる価値(商品やサービス)を提供し続けることができる「本当にいい会社」「本当に魅力的な会社」になる必要があります。

 

そのためには、社員の皆さんが「楽じゃないけど、愉しい」と感じるような働く環境を少し時間をかけて整えることが、遠回りの様で近道ではないかと思います。

 

人材採用の難易度が最も高い業界の一つと考えられる警備業界のある会社は、昨年企業理念を明確にし、その企業理念にもとづいて「日本一誇りが持てて、働きやすい会社」というビジョンを掲げ、幹部の皆さんがその実現に向けて活動したところ、1年で社員数を2倍にすることができたという例があります。

 

ぜひ、丁寧な環境づくりに取り組むことによって、本当の意味での企業価値を高め、人材がコンスタントに集まる「本当にいい会社」を目指してみてはいかがでしょうか。

 

 

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