「好循環が生まれ、持続的に業績が高まる組織」をつくるポイント
目次
どうせなら「好循環・高業績の組織」を目指しましょう
弊社は、クライアント企業の人材や組織の課題解決のお手伝いする、いわゆる組織・人事コンサルティングサービスを提供している会社です。
クライアント企業をよく観察させていただいていると、会社には大きく分けると2つのパターンがあることがわかります。
それは、簡単に言うと組織内に好循環が生まれている会社と悪循環に陥っている会社です。
前者は、組織のいろいろな機能がそれぞれうまく回っていて、お互いに良い影響を与え合い、結果として業績も持続的に高まっていく組織で、私はこの組織を「好循環・高業績の組織」と呼んでいます。
もう一方は、「好循環・高業績の組織」とは全く逆で、組織のほとんどの機能がうまく回っておらず、相互にマイナスの影響を与え合い、結果として業績は伸びない、または低迷している組織で、この組織を「悪循環・低業績の組織」と呼んでいます。
組織のこの2つのパターンの間には、様々な状態の組織があるわけですが、状況をよくお聞きすると、どちらかのパターンに分けることができます。
弊社が企業の支援に入らせていただくとき、現状が「悪循環・低業績の組織」の状態にある企業には、まず好循環を生み出す組織を目指しましょうとお話させていただきますし、すでに「好循環・高業績の組織」の状態が生まれている組織には、今の状態をさらに磨いて、より優れた「好循環・高業績の組織」になりましょうとお話させていただいています。
こういったお話をさせていただくと、ほとんどの企業が「そうですよね」と言って、納得してくれます。
やはり会社を発展させ、社会貢献を続けていきたいと思うのであれば、「好循環・高業績の組織」を目指してもらいたいと思います。
それでは、「好循環・高業績の組織」または「悪循環・低業績の組織」とはどのような組織なのか、もう少し具体的に見ていきましょう。
「好循環・高業績の組織」と「悪循環・低業績の組織」の特徴
まず、「好循環・高業績の組織」の主な特徴を上げると下記のようになります。
【好循環・高業績の組織の特徴】
①組織に一体感(仲間意識)がある
②雰囲気が全体に明るく、エネルギッシュ
③良い仕事を追求しようとする厳しさや責任感がある
④社員が自律的に行動し、結果を生み出している
⑤短い時間で高いパフォーマンスが生み出せる(生産性が高い)
➅ワークライフバランスが実現している
⑦人材が定着し、社員数が徐々に増えている
⑧結果として、業績が着実に高まっている
そして、「悪循環・低業績の組織」の主な特徴は、「好循環・高業績の組織」のまさに裏返しです。
【悪循環・低業績の組織の特徴】
①社員がばらばらで、つながっていない
②雰囲気が暗く、エネルギーが低い(不満や文句が多い)
③仕事に対する意欲や責任感が薄い
④社員の多くが指示待ちで、結果をなかなか生み出せない
⑤パフォーマンスが低い(生産性が低い)
➅長時間労働が常態化している
⑦人材が定着せず、採用がうまくいかない
⑧業績が今一つまたは低迷している
皆さんの会社の状態はいかがでしょうか?それぞれの項目について、ぜひ簡単にチェックしてみてください。
全体的には、「悪循環・低業績の組織」の項目に当てはまるが、先代からの良いお客様との関係が続いていて、また社員も責任感が強いので、業績は決して悪くないという企業さんもあるかと思います。
結局、自分の会社は好循環が生まれている組織なのか、悪循環が生まれている組織なのかを簡単に判断しようと思ったら、「人材が定着し、社員数が徐々に増えているか」を見ると良いでしょう。
人材が定着し、社員数が徐々に増えている会社は「好循環・高業績の組織」、人材が定着せず、社員数が一定または減っているような会社はまだ「悪循環・低業績の組織」と考えられます。
組織に好循環が生まれる背景には、社員同士がつながっていて、相乗効果を生み出すというベースができているので、そういう組織は人材の定着率が高いのです。
「好循環・高業績の組織」の事例
それでは、「好循環・高業績の組織」って実際にはどんな組織なのと思われる方も多いと思いますので、具体的な事例を見てみましょう。
IT企業A社
1社目は、システム開発を主力事業としているA社です。
A社は1990年代に創業し、百数十人の社員数の会社です。
企業理念は「笑顔」がキーワードで、お客様、社員、取引先の笑顔のために、経営に一本筋を通しています。
創業のころからワークライフバランスの実現を目指していて、システム開発を依頼するお客様からの要望がどうしても自社の社員の長時間労働につながってしまうような場合は、その商談をお断りするケースがあるほど、企業理念に照らした経営を行っています。
IT企業ではめずらしく、社員さんが主体となった、会社を良くするための委員会活動や趣味のクラブ活動がとても盛んです。基本的に企業理念に照らしてノリの良い社員さんを選んで採用しているそうです。
社員の離職率も3%以下で、新規採用は新卒採用も含めてこの業界としては比較的うまくいっています。
そして売上高も毎年10%以上ずつ伸びています。
水産加工会社B社
2社目は、鮮魚を仕入れて加工し、都内の小・中学校の給食の食材として提供している、水産加工会社です。
創業して50年以上になりますが、業績が順調に伸びています。
「高品質の水産物を提供し、笑顔、感動、心の豊かさに貢献する」という理念を社員さんに伝え、社員さんたちも子供たちに「安全で、おいしい魚を届けて喜んでもらいたい!」という想いを持ちながら、楽しんで働いています。
朝早くから配達に出かけ、会社に戻ってきてからは魚の加工をするという結構きつい仕事ですが、定着率も良く、若い社員さんを中心に社員数が徐々に増えています。最初に支援に入らせていただいたときは20名ほどの社員数だったのが、ここ2年ほどで30名近くになっています。
もちろん退職者がいないわけでもありませんし、採用にも苦戦していますが、結果として社員数は増えているので、組織の状態は全体的に良いと言えると思います。
そして業績も、食材を納入する学校数が順調に伸びていることから、2年前に約6億強だった売り上げが、現在は9億近くになっています。
どちらの企業も、社内の多くのことがうまく回っていて、典型的な「好循環・高業績の組織」と言ってよいでしょう。
では組織に好循環を生み出すポイントは何なんでしょうか?
「好循環が生まれ、持続的に業績が高まる組織」をつくるポイント
「好循環が生まれ、持続的に業績が高まっていく組織(会社)」をつくっていくのに大事なことは、3つあると思います。
①理念経営
②社内の「関係の質」を高める
③「関係の質」を高める最低限の仕組みを整備する
順番にそれぞれのポイントを見ていきましょう。
理念経営
「好循環が生まれ、持続的に業績が高まっている組織」はほぼ例外なく理念経営をしています。
企業理念や企業ビジョンを軸に、経営に一貫性を持たせ、社員さんが行う仕事が最終的にはどこにつながっていくのるかを明示し、社員さんに「仕事をする意味」を感じさせています。
言ってみれば、理念を明示しないで会社を経営しているということは、タクシーに乗って行き先を明確に告げないことと同じです。
もし目的地を伝えていないとすると、お客(社長または上司)が常にドライバー(社員)に対して、「右に行け」「左に行け」「もっとスピードを上げろ」「高速道路は高いから使うな」などの細かい指示を出し続けなければなりません。いわゆる「マイクロマネジメント」ですね。
ドライバー(社員)も細かい指示に従っていかなければならないので、自分の判断で車を操作できないし、どぎまぎして間違うことも出てくるでしょう。
お客様(社長または上司)もドライバー(社員)もお互いにストレスフルでいらいらして、こんなに非効率なことはありません。
やはり、お客様(社長や上司)はタクシーに乗り込んだら、道路や運転について熟知しているドライバー(社員)に目的地を告げて、目的地への行き方はプロであるドライバー(社員)を信じて任せるというのがお互いにとって幸せです。
お客様(社長や上司)は細かい指示を出し続ける必要が無く、後部座席で次の仕事のための準備や経営の構想もできるわけです。
やはり、「好循環が生まれ、持続的に業績が高まる組織」をつくるためには、理念経営=共通の目的を明確にすることがまずは起点になるのです。
社内の「関係の質」を高める
社内の「関係の質」というのは、人と人との関係の中での「チームワーク」や「信頼関係」のことです。
「チームワーク」とは、一つの目標に向かってメンバーが、それぞれの役割の中で力を最大限に発揮し、協力してプラスの相乗効果を生み出していくことです。
2019年のラグビーワールドカップの日本代表が、「憧れの存在になる」という理念を掲げ、具体的にはベスト8に入るという目標を設定し、メンバーそれぞれが力を発揮し、ONE TEAM と言われるぐらいの1つの生き物のような動きをして、相手を圧倒したことをイメージするとわかりやすいでしょう。
会社組織でいえば、最終的には理念の実現を目指して、会社全体の目標、部の目標、チームの目標、個人の目標がすべて一つの目的を実現するために有機的につながっていて、お互いの目標達成に向けての行動がわかり、必要な協力をし合って、プラスの相乗効果を生み出していく組織です。
そして、一人ひとりが最大限力を発揮し、協力していくためには、組織のベースとして信頼関係が必要です。
人間の潜在意識は怖がりで、保守的なので、組織に恐怖感や不安感があると委縮してしまい、力を十分に発揮できないし、人と協力することもできにくくなります。
「好循環を生み出し、持続的に業績が高まる組織」をつくるためには、理念を軸としたプラスの相乗効果を生み出すチームワークが必要ですが、その前提としては安心・安全な信頼関係というベースが必要になってくるのです。
「関係の質」を高める最低限の仕組みを整備する
そして、ある程度理念経営と社内の「関係の質」を高めることができるようになったら、この二つを更に促進するための評価制度、賃金制度、社員の仕事を効率化するシステムの導入などを合わせて整備していきましょう。
理念経営ができるようになり、社内の「関係の質」が高まってきているのに、正当な評価がなされていない、賃金が著しく低い、極端な長時間労働に陥っているということであれば、やはり「好循環・高業績の組織」とは言えません。
人が集まってくる魅力的な会社になるためには、そうした目に見える「仕組み」も最低限整備していく必要があります。
まとめ
どうせなら、「好循環が生まれ、業績が持続的に高まっていく組織」をつくってください。
経営者にとっても、社員にとってもハッピーな会社ですし、社会からも魅力的な会社に見えることから、人が集まり、ますます社会に価値を提供し発展して、やりがいのある雇用をどんどん増やしていって欲しいと思います。
それこそ、最大の社会貢献だと思います。
★株式会社シンフォニック・バリューズは主に企業の組織や人材に関わる課題解決のお手伝いをさせていただいています。
組織や社員さんのことで気になることがあればお気軽にお問い合わせください。
→ お問せい合わ