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採用難再燃、人材が本当に魅力を感じる会社になるには?

 
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コロナの状況にも社会全体が慣れ、経済も立ち上がってきたことにより、ここに来てまた企業の採用意欲が復活し、人材採用の厳しさが再燃してきています。

 

日本の少子高齢化を考えると、この採用の厳しい状況は深まっていく可能性が高く、一部の成長業種の有名企業以外は非常に苦戦を強いられる可能性が高まっています。

 

こうした状況の中で採用活動の技術的な部分を改善しただけでは歯が立たないことも考えられ、人材が本当に魅力を感じ、入社したいと思える会社になることを真剣に考える時期に来ていると思います。

 

人材が本当に魅力を感じる会社とはどのような会社なのか、そのためにはどのような組織づくりをしたらよいのかについてお伝えします。

 

採用難の再燃

 

2023年卒採用の内定状況と2024年卒採用の見通しなどをまとめた「マイナビ 2023年卒企業新卒内定状況調査」によると、2023年卒の採用充足率は3年ぶりに減少し(81.3%)、コロナ前の2020年卒の80.4%とほぼ並び、過去最低を記録しています。

 

採用活動について「前年より厳しかった」と分析している企業が前年より20ポイント以上増え49.6%になり、「前年並みに厳しかった」という38.0%を加えると約9割の企業が2023年卒の採用活動は厳しかったと答えています。

 

肌感覚とも合っていて、企業を訪問して採用状況について聞くとやはり去年より厳しい、去年までは採用できていたが今年は全く採れないという声をよく聞きます。

 

これはある大手ゼネコンの例ですが、以前から採用に苦労していたのですが、昨年までは何とか新卒を確保できていたのですが、現時点でも今年は全く採用できていないのだそうです。

 

この採用の厳しさは、もちろん大きな流れとして少子化が原因ですが、大学生の卒業数自体はここ数年は大きく変わっていません。

 

多くの企業の採用が厳しい理由の1つとして考えられるのは、大手有名企業、特に大手IT企業が大胆な学生の囲い込みをしていることが考えられ、大学1年生や一説には有名高校にまで触手をのばしているという噂まであります。

 

大手有名企業も本当に採用に必死になっています。

 

また円安の影響もあり、海外に出稼ぎに行く日本の若者が増えているというニュースが2月初めのNHKのクローズアップ現代で特集され、衝撃を与えました。まだまだ総数としては少ないと思いますが、日本で介護職の月給が平均25万円ぐらいだとすると、オーストラリアで介護職につくと月給60~80万円になるのだそうです。

 

毎月40万円貯金ができ、英語も勉強でき、残業はないし、日本のように精神的な不寛容さや人間関係のしがらみもないので日本に戻るつもりはなくなったとインタビューに答えている若者もいました。すし職人もオーストラリアだと月給60万円ぐらいになるそうです。

 

そして外国人も出稼ぎ先として、日本を避ける傾向も出てきています。

 

来年度も今年よりも厳しい採用活動が予想されていますが、もしかすると厳しいどころではない状況が生まれるかもしれませんね。

 

人材が本当に魅力を感じる会社とは

 

昨年リクルートワークス研究所の研究員が書いた記事が話題になりました。

 

題名は、『「ゆるい大企業」を去る若手たち。ホワイトすぎて離職?働きやすいのに“不安”な理由』です。

 

先ほど大手人気企業が新卒を抱え込んでいるというお話をしましたが、一方で苦労して入社した大手企業を若者が早期に辞める傾向が高まってきているというのです。

 

大手企業は働き方改革を進め、労働時間も大幅に減っていますし、テレワークの体制も整い、副業にも寛容で、コンプライアンスも徹底してパワハラもなくなってきており、良いことずくめのように感じますが、若者が逆に不安を感じているというのです。

 

その不安は、この居心地の良い緩い環境のままで、「自分は別の会社や部署でも通用する人間になれるだろうか?」という不安です。

 

また大企業はテレワークがかなりの割合で実施されていることから、新入社員が先輩や上司の近くで背中を見て仕事を覚える、あるいは先輩や上司に気軽に相談するという機会が減っていることも不安を高めている可能性があります。

 

社会に出て、35歳ぐらいまでの青年期は、社会に適応しながら、報酬を獲得し、その報酬を増やしていくためのスキルアップを第一に考えていかなければならない時期だと思います。

 

特に自分が入社した会社だけで通用するスキルではなく、転職した先でも通用するようなスキルアップを望んでいます。

 

ずばり若者は、特に大手企業に採用されるような意識の高い若者は、会社が自分が成長できる環境なのか、後押しをしてくれる体制が整っているのかを見極めようとしていて、それがあまり期待できないと感じれば早期に転職を考え始めるということなのだと思います。

 

わがままでもなんでもなく、とても合理的な判断だと思います。

 

そこで、人材が入社したい、長く働きたいと思う本当の意味で魅力を感じる会社を目指す必要が出てきているのですが、そのためには若者に限らず、次の3つの欲求を満たしてあげることがとても重要だと考えています。

 

  • 仕事に対するやりがい
  • 成長感
  • 信頼できる人間関係

 

上記の3つの欲求を満たしてあげることができる組織をつくることができれば、多少勤務条件や環境、福利厚生の水準が劣っていたとしても、外部の人材を惹きつけ、内部の人材はこの会社で長く働きたいと思うはずです。

 

この3つの欲求を満たしてあげることは、より規模の小さい会社の方が実現しやすいのでではないかと思います。

 

ですから、これから熾烈になっていくと考えられる採用競争の中でも、中堅・中小企業が人材を獲得できる可能性がここにあると考えています。

 

それではどうしたら、「やりがい、成長、信頼を実感できる組織」をつくることができるのでしょうか。

 

次にそのポイントについて、見ていきたいと思います。

 

「やりがい、成長、信頼を実感できる組織」をつくるポイント

 

やりがいを実感できるようにするには?

 

やりがいの源泉は、価値ある目的の実現に向かって自分は適切に行動できているという実感です。

 

そして、社員に価値ある目的の実現に向かって適切に行動できているという実感を持ってもらう前提として、まず会社が目指す価値ある目的を明確にする必要があります。

 

「世の中に対してこんなことで役に立つことができる、こんな会社になりたい」というビジョンを描き、その「ビジョンを実現するために当社はこういう価値観を大切にする」といういわゆる企業理念を明確にすることがとても重要です。

 

その上で、社員自身も「こんな価値を実現できるこんな人間になりたい」という自分自身のビジョンを描き、会社のビジョンと自分自身のビジョンの両方を同時に実現できる具体的な目標を設定し、その達成に向けて着実に行動ができるようになると非常にやりがいを感じることができるようになります。

 

会社のビジョンと重要な価値観の明確化、そして社員自身のビジョンの明確化と具体的な目標設定の支援ができる体制を整えられると良いと思います。

 

成長を実感できるようにするには?

 

成長感は、今までできなかったことができるようになること、あるいは今までやってきたことの質の向上をとおして、お客様や同僚・上司など自分以外の誰かの役に立ち、喜んでもらえたと実感することで得られます。

 

今までできなかったことができるようになる、あるいは今までやってきたことの質を高めるためには、やったことのないことに挑戦したり、より難易度の高いことに取り組んだりして、試行錯誤することが重要です。

 

そのためには自分自身が意義を感じる目標設定が非常に重要になりますので、①の会社のビジョンと自分自身のビジョンの両方を同時に実現する具体的な目標設定の指導や支援がとても重要になります。

 

また、社員に成長を実感させるポイントとしては、人間は自分の成長に関してはなかなか自分では気がつかないことが多いので、上司がよく観察していて、「こんなことができるようになったね」「お客様から君に対するこんな感謝の言葉をいただいたよ」など適切なフィードバックをしてあげることもとても重要です。

 

また、挑戦的な目標の達成に取り組むわけですから、本人には不安もあるので、周りからの応援や励ましもとても求められます。

 

社員自身が意義ある挑戦的な目標を設定し、その挑戦を周りが見守り、応援してあげるような組織をつくることが必要になってきます。

 

信頼を実感できるようにするには?

 

信頼し合える人間関係をつくることは、ロジカルな取り組みというよりもとても人間的な取り組みです。

 

そして、信頼できる人間関係をつくるのに最も影響力があるのが、経営トップ(社長)であり、経営幹部(マネジャー)の皆さんです。

 

信頼を生み出していくには、経営トップ・幹部の皆さんの社員に対する認識や対応次第だと言えます。

 

まずは経営トップ・幹部の皆さんが、社員のことを「誰もが自分を活かして人の役に立ちたいと思っている尊い存在として無条件に尊重する」ということが極めて重要です。

 

無条件にというところがポイントですが、これは理屈ではありません。皆さんは自分の家族のことをあるいは友人のことを、条件をつけずに、優秀であろうとなかろうと大切に思っているのではないでしょうか。

 

社員を、共通の目的の実現を目指す、大切な仲間と思っていただければ、以外と抵抗感なくその存在を認めることができるのではないかと思います。

 

そして、信頼し合える人間関係をつくる第2のポイントは、経営トップ・幹部の皆さんが、社員の声にしっかりと耳を傾けるということです。

 

これは第1の無条件である「存在を認め尊重する」ということにもかかわってきますが、耳を傾けるという行為は、相手の存在を認めているという強力なメッセージになります。

 

そして第3のポイントは、具体的な仕事の目的とゴールを合意したら、仕事のやり方は社員に任せるということです。

 

まかせること、責任を与えることは、社員を信用し、信頼している強力なメッセージになり、信頼し合う人間関係をつくることにつながります。

 

要するに、信頼し合える人間関係を組織の中に生み出すためには、経営トップ・幹部の皆さんが社員を無条件に人としてその存在を認め、その信頼に基づいて社員と丁寧に向き合うということです。

 

まとめ

 

最初にお伝えした通り、これからは異次元ともいえる採用難の時代に突入していく可能性があります。

 

そのような中で、人材を惹きつける本当に魅力的な会社になるためには、小手先の働きやすさの実現ではなく、人が仕事をするにあたって本質的に求めていることを満たす会社づくりをする必要があります。

 

その人が仕事をするにあたって本質的に求めていることとは下記の3つです。

 

  • 仕事のやりがい
  • 成長感
  • 信頼し合うことができる人間関係

 

これらは幸いなことに、大きな資金的な投資が必要なことではありません。

 

ただ地道に取り組み、本質的な欲求を満たすことができる組織をつくり上げていく必要があります。

 

ぜひ計画的に進めていただければと思います。

企業理念・ビジョンの明確化/目標管理制度の導入についてはこちらをご覧ください。

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