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中小・ベンチャー企業が人事評価制度を効果的に導入したいと思った時の勘所

 
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中小企業やベンチャー企業などのクライアント企業から、人事評価制度を整備したいというご相談を受けることがとても多くなりました。

 

中小企業やベンチャー企業では、多くの場合、人事制度や人事に関連することはどうしても後回しになっているので、10年間何も手をつけていないというケースも結構あります。

 

そんな中で、中小・ベンチャー企業で人事評価制度をきちんとしたいというニーズが出てくる背景には、人事評価制度を入れることによって、社員に目的意識を持って働いてもらいたい、賃金制度とも合わせてある程度公正に評価や処遇をする体制を整えることで人材採用に良い効果を生み出したい、社員数も増えていくので管理職のマネジメント力を高めたい、最近入社した中途社員からこの会社には評価制度は無いんですか?と聞かれるなどの理由から、そろそろ人事評価制度を整備しようかと思うケースが多いようです。

 

ただ、公正な処遇を実現する人事評価制度を入れて、社員のモチベーションを上げたいと思っても、だいたいの場合は失敗することが多いのが実状です。

 

ですから、人事評価制度を入れる際には、その目的と導入した後の運用がとても大事になってきます。

 

その勘所についてお伝えします。

 

人事評価制度を公正な処遇を実現するために導入してもだいたい失敗する

 

人事評価制度はあくまでも仕組み・ツールなので、導入しただけではだいたい機能しません。

 

ダイエットを目的とした健康器具を買ったとしても、それを根気よく使い続けないと、体重が実際に減り、イメージしていた体型になるという効果には結びつかないのと同じです。

 

また人事評価制度を導入して、例え公正な処遇が実現したとしても、ほんの一部の人を除いて、社員のモチベーションがあがることはほとんどありません。

 

たとえば、人事評価をする場合、通常は相対評価になるので、ほぼ半分の社員がプラスの評価で、半分の社員がマイナスの評価ということになります。

 

人はだいたい、他人が評価するよりも20%増しぐらい高い自己評価をしていると言われています。

 

プラスの評価を受けた人は「これぐらいの評価は当たり前だよね、逆にもっと高い評価でもいいくらいだ」などと思いますし、マイナスの評価の人は納得できず不満に思うので、会社が公正な評価と処遇を実現できたと思っても、ほとんどモチベーションが上がる社員はいないということになります。

 

もちろん、公正な評価に基づいて公正な処遇を実現しようとすることはとても大事なことですが、いくら公正な評価が実現できたとしても、つねに会社側の評価と本人の評価にはギャップがあり、評価制度の整備によって社員のモチベーションを上げようとすることは、ほぼ実現することはできないと考えられます。

 

人事評価制度を導入する目的をどう考えたらよいのか

 

では人事評価制度を導入する目的はどう考えたらよいのでしょうか?

 

ずばり人事評価制度を、自分の会社の事業を発展させるために、社員の成長を促進し、業績を高められるようにするための仕組みと考えることです。

 

人事評価制度を運用することをとおして、社員に目的意識や成長意欲を持たせ、マネジャーの指導力やリーダーシップを強化し、会社の業績を高め、高まった利益を最終的には処遇に反映していくということです。

 

人事評価制度を給与額や賞与額を決めるためだけにやろうとするとその制度はだいたい形骸化していき、マネジャーもなるべく手間をかけずにやろうとしますし、社員に恨まれたくないので評価が甘くなって適切ではない評価結果になるケースが多いのです。

 

そうではなく、人事評価制度は、メンバーを成長させ、マネジャー自身も成長し、会社業績が高まり、ひいてはみんなが豊かになるための仕組みということをよく理解できれば、甘い評価をすることには何の意味もなく、ありのままを適正に評価することがお互いの成長につながるということがわかるので、マネジャーはできるだけ適切な評価をしようとしますし、メンバーとの対話の時間を取ることにも意味を感じ、人事評価制度に魂が入っていくことになります。

 

社員の成長を促進する人事評価制度を実現するための5つの勘所

 

①どんな人材を育成したいのかという「人材育成計画」をまずつくる

 

人事評価制度を策定し、導入する際のプロセスを見ておきましょう。

 

・企業理念や経営計画を実現するための「人材育成計画」の策定

・調査:書籍・セミナー・同業他社ヒアリングなど

    社員や組織の現状の把握

・人事評価制度の基本設計

・人事評価制度の詳細設計

・人事評価制度のテスト導入

・人事評価制度の完成

・人事評価制度の運用開始

 

ここで一番大事なのは、企業理念や経営計画を実現するためにどういう人材が必要で、現在いる社員にどのように成長して欲しいかをまとめた「人材育成計画」をしっかりと決めることです。

 

人事評価制度の役割基準を作ったり、評価項目を決めたりする際の軸になります。

 

この人事評価制度の策定・導入プロセスは、モノづくりのプロセスとほぼ同じと考えていただければよいと思います。

 

②人事評価制度の策定を評価者となるマネジャーにも協力してもらう

 

人事評価制度を作っていく過程に、極力評価者となるマネジャーを巻き込むことが制度を機能させることができるかどうかを大きく左右します。

 

マネジャーにとっては自分が作成にかかわった制度だという当事者意識が生まれますし、人事評価制度は作るよりも、つくった後の運用の方が大事だとわかるので、マネジャーが運用ができなくて失敗するということを避けることができます。

 

調査の現状把握あたりから、マネジャーの意見を聞くなど、人事評価制度づくりに巻き込んでいくことがとても重要です。

 

③人事評価制度はなるべく簡易で分かりやすいものにする

 

人事評価制度は、なるべく簡易で、誰が見ても分かりやすいものにします。

 

とかく人事評価制度を作るときには、精緻なものや説明の詳しいものなどを作ろうとしてしまいがちですが、複雑なものや理解するのにかなりの努力を必要とする制度はだいたい機能しません。

 

シンプル イズ パワーで、やはりわかりやすいものには力があります。

 

役割基準なども、説明は複雑にしないで、5行程度の文章にまとめるのがコツです。

 

④マネジャーに対してメンバーと向き合う研修を実施する

 

社員の成長を促し、会社の業績を向上させることを目的とする人事評価制度を導入し、機能させようとした場合、制度導入後のマネジャーによるメンバーとの面談、指導、支援、フィードバックなど、向き合う時間を意識的につくっていくことが最大の肝です。

 

そこで制度導入の前に、マネジャーに対して、メンバーとしっかり向き合って、指導や支援を継続的に行えるようになる研修を実施します。

 

⑤制度導入の直前の社員への説明と評価者研修を実施する

 

人事評価制度を導入する直前には、評価制度の目的と内容を社員全員に説明します。

 

そして、マネジャーには目標設定や評価の仕方、評価結果のフィードバックの仕方などを学び、評価のバラツキが無いようにする評価者研修も実施します。

 

評価者研修は繰り返し実施する必要があり、少なくとも2年に一回ぐらいの頻度で行うのが良いでしょう。

 

まとめ

 

人事評価制度は、つくって社員に説明すれば自動的に動き出すというものではありません。

 

人事評価制度という仕組みを使って、継続的に根気よく、メンバーの成長を促すために、マネジャーは多くの時間と手間をかけなければなりません。

 

それは本来はマネジャーの役割なのですが、今までそういうことをやってこなかった場合は、とても負担に感じることだと思いますが、マネジャーがメンバーと向き合うことが人事評価制度を成功させる最大のポイントです。

 

極端に言えば、人事評価制度自体はそんなに素晴らしい出来栄えではなくても、マネジャーがメンバーとしっかり向き合うことができれば、社員の成長を会社の業績を高めるという目的に近づくことができます。

 

人事制度導入の成否はマネジャーの多大な取り組みにかかっているので、とても覚悟がいるのです。

 

でもそれが、企業を発展させる最良の投資になります。

 

→人事制度の構築・運用については、こちらもご覧ください。

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