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一人ひとりを最大限に活かし、すべての力を一点に集中する組織づくり

 
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今どのような組織が求められているのか?

 

現在の世の中はVUCAの時代と呼ばれ、不安定性(volatility)、不確実性(uncertainty)、複雑さ(complexity)、曖昧さ(ambiguity)が非常に高まっていると言われています。

 

要するに先の見通しがきかず、正解というものがなかなかわかりにくい状況になっているということです。

 

したがって、仕事が非常に複雑になり、また高い質を求められるようになってきていて、上司とメンバーまたはメンバー同士が密接に連携しながら取り組まないと完結しない仕事が増えています。

 

その背景には、「工業社会」から「知識社会」への変容があります。

 

工業社会ではとにかく目の前の仕事を単独で効率的に進めることが求められていましたが、現在の知識社会ではお互いに情報や知識を交換し、協力し合いながら仕事を進めることが格段に多くなったのです。

 

AIが進めば単独で行う単純作業を人間が行うことが少なくなり、ますます知識労働が主流になっていくと考えられます。

 

たとえば医療現場の手術を考えてみても、高度な知識と技術を持った医師、看護師、医療技術者、最新の機器などが密接にコミュニケーションを取りながら、絶妙に連携して動かなければ達成できないほど、手術に高い水準が求められるようになっています。

 

また企業が提供する商品やサービスにも、ストーリー性が高いクリエイティブな内容を求められるようになっています。

 

要するに企業は、独自性が高く、かつかなりレベルの高い品質の価値(商品やサービス)の提供をお客様や世の中から求められる時代になったということです。

 

それでは、このような難易度の高い事業を続けていかなければならない時代に必要な組織とはどのような組織なのでしょうか。

 

独自性が高く、かつ品質のレベルが高い価値(商品やサービス)を提供し続けるためには、次の2つを満たした組織が必要だと私たちは考えています。

 

①組織のメンバー一人ひとりを最大限に活かす

②組織内のすべての力を1点に集中する

 

組織内のメンバー一人ひとりが持っている知識や能力を最大限に活かし、かつその力を分散させずにその企業独自の価値(商品やサービス)を生み出し、提供し続けるという1点に集中する組織です。

 

複雑で難易度の高い価値提供を求められるVUCAの時代においては、個を最大限に活かし、その力を1点に集中して独自の価値の創造と提供ができない組織は、生き残れなくなる傾向がますます強くなると考えられます。

 

組織内のメンバー一人ひとりを最大限に活かすにはどうしたらいいのか

 

それでは、「メンバー一人ひとりを最大限に活かし、すべての力を一点に集中する組織(または企業)」をつくろうとする場合、まずメンバー一人ひとりを最大限に活かす状態を組織の中に生み出さなければなりません。

 

そのためにはどうしたらいいのでしょうか?

 

ポイントは2つあります。

 

① メンバーが安心できる組織文化をつくること

② メンバーの自発性を促すマネジメントを実行すること

 

①のメンバーが安心できる組織文化をつくることは、メンバー一人ひとりを最大限に活かすための土台になります。

 

人はどんなに力があっても、不安な環境の中ではその力を十分に発揮することはできません。

 

不安な環境の中では、人は自分からネガティブなことを報告したり、思ったことを率直に話したり、新しいことを提案したりすることができないことは、皆さんも経験してきたことではないかと思います。

 

要するに率直に思っていることを話せない不安な組織文化では、組織がリスクを回避したり、新しいことを生み出したりするための重要な情報や意見・提案が、メンバーからは出てこないということになります。

 

ではどうしたら、安心できる組織文化をつくることができるのでしょうか?

 

メンバーが安心できる組織文化をつくる

 

この安心できる組織文化をつくるのは、社員ではなく、経営者やリーダーです。

 

とりわけ、経営者の考え方や社員との接し方が、この安心できる組織文化をつくる上では最も影響が大きいと言えます。

 

あるメーカーの社長は、2代目の社長で、社員の意見や提案は一度も取り入れたことが無いと言われるほどワンマンで、社員が何かを提案しても気に入らないことがほとんどで、自分の意に沿わないと提案した社員を無能呼ばわりして侮辱するという接し方の経営者でした。

 

誰も悪い情報はその社長の耳には入れないですし、ほとんど何かを提案することもなく、提案を強制さたときは社長の考えの範囲内で気に入りそうな、耳ざわりのよいことしか提案しない、管理職のほとんどが社長の顔色ばかり見て、戦々恐々としながら仕事をするという状態になり、会社全体に不安が常に支配している組織文化が生まれていました。

 

でも程度の問題はありますが、こうした社員が積極的に意見を言えない、行動できないという企業や組織は決して少なくないのではないでしょうか?

 

こうした組織を社員からボトムアップで変えることはほぼ無理です。

 

やはり経営者や管理職がこれではいけないと気づいて、組織文化を上から変えていこうとするしかありません。

 

ではどうやって、安心できる組織文化をつくったらよいのでしょうか。

 

これも2つの切り口があって、グーグルがチームが高い業績をあげるのにもっとも重要な要素としてあげた心理的な安心(心理的安全性)を生み出すことと、制度的な安心を実現することです。

 

心理的安全性とは皆さんもご存じだと思いますが、「こんなことを聞いて馬鹿だと思われないだろうか」「こんな提案をして冷ややかな対応をされないだろうか」などの不安を感じずに、報告、相談、質問、意見、提案などを気楽に表明でき、それを必ず上司や同僚が受け入れてくれるはずだとほとんどの社員が思える状態です。

 

このような心理的安全性が維持できれば、社員は気楽に発言し、社員同士の協力が強まり、ひいては独自性の高い価値(商品やサービス)を創造し、提供することにつながると考えらえ、業績に結び付いていくことになります。

 

心理的安全性に20年も前に注目して研究を続けて来た、エイミー・C・エドモンドソン教授は、心理的安全性を築くことは業績に直結するとその著書で記しています。

 

それでは、心理的な安心(心理的安全性)をつくるにはどうしたらよいでしょうか?

 

ここでは単純化してお話ししますが、経営者やリーダー(管理職)が社員を人間としてその存在を認め(存在承認)、尊重しようとすることです。

 

社員を尊重するとは、経営者やリーダーがその声に真摯に耳を傾け(傾聴し)、その声で本当に有用だと思うものは何とか実現しようとする姿勢を持つことだと思います。

 

そしてもう一つの安全性である制度的な安心とは、雇用や生存(健康)にかかわる安全性だと考えてください。

 

  • 正当に働いていれば雇用を脅かされることはない。
  • 会社への貢献がある程度正当に評価され、給与水準は同業他社とそん色がない。
  • 安全かつ健康的に働くことができる労働環境がある。

 

これらが、制度的に明確にされていて、守られているという状態です。

 

この心理的な安心と制度的な安心の2つの安全性が整ってくると安心できる組織文化を生み出すための1つの要素が整うことになります。

 

そして安心できる組織文化をつくるもう一つの要素である、メンバーの自発性を促すマネジメントを実現するにはどうしたらよいのでしょうか?

 

メンバーの自発性を促すマネジメントを実行する

 

メンバーの自発性を促すマネジメントを実行するというのは、メンバーが自分で判断して、行動して、結果を生み出せるように、リーダーがメンバーを尊重したマネジメントを実現するということです。

 

リーダーがメンバーの箸の上げ下ろしまで指示するようなマネジメントではなく、自ら判断して行動できる大人として扱うということです。

 

リーダーはメンバーが自力でうまく仕事をやり遂げられるように支援するということですね。

 

メンバーの自発性を促すマネジメントを実行するためには、リーダーはメンバーと向き合うとき、主に下記のことを意識する必要があります。

 

  • メンバーが仕事をする上での判断に必要な情報をできるかぎり提供する。
  • 挑戦的な目的とゴールを設定したら、仕事のやり方はメンバーに任せ、成功体験を積ませる。
  • メンバーが挑戦できたこと、できなかったことをメンバーと一緒に振り返り、重要課題を明らかにし、成長につながる行動を促す。
  • メンバーの行動でうまくいったことは強化し、失敗したことからは学び、次に活かすように促す。
  • そして、「あなたならできる」と応援したり、勇気づけたりし続ける。

 

要するに、リーダーはメンバーが挑戦に向けて踏み出せるように、成功体験を積ませて自信を持たせ、困難に直面したようなときにも応援団になるということです。

 

リーダーは、メンバーが成長し、成功するように見守り、支えるということです。

 

子供の成長を願い、社会で少しでも役に立つことを願う親の姿勢といっしょですね。

 

メンバーとそんな付き合い方までしなくちゃいけないのかと思われるかもしれませんが、この成果の生み出しづらい世の中で価値を生み出そうと思ったら、そこまで必要です。

 

結局家族も、見守り、応援し、あとは本人に任せることぐらいしかできないので、そんな向き合い方ができればよいと気楽に考えていただければよいのではないかと思います。

 

組織内のすべての力を一点に集中するにはどうしたらいいのか

 

それでは、「一人ひとりを最大限に活かし、すべての力を一点に集中する組織」をつくる場合の大きな2つ目のテーマ、組織内のすべての力を一点に集中するにはどうしたらよいのでしょうか。

 

一言で言ってしまえば、経営理念(ミッション・ビジョン・バリュー)、中期ビジョン(数年後ビジョン)、経営戦略、組織目標、個人目標を段階的に具体的・短期的にブレークダウンしていき、それぞれの内容と方向性に一貫性を持たせながら、設定するということです。

 

要するに、会社方針と社員の目標が有機的につながりながら、一つの方向を向いている状態をつくることです。

 

これができると、社員が目標を達成すると組織の目標を達成することにつながり、組織の目標を達成できると経営戦略の実現につながり、経営戦略が実現できると中期ビジョンの実現につながり、中期ビジョンが実現できると経営理念の実現につながるという道筋が社員に見えるようになります。

 

そうすると、社員が取り組んでいることが、最終的には経営理念で目指している人々や社会への貢献につながるということが理解できるので、自分の仕事に意義を見出すことができるようになります。

 

人はそもそも、「誰かや社会の少しでも役に立てる価値ある存在でありたい」という根源的な欲求を持っています。

 

やはり人は、誰かの役に立てたとき、世の中に少しでも良い影響を与えられたと感じることができたとき、もっとも大きな喜びを感じるのではないかと思います。

 

企業はそもそも、人々や世の中の役に立つ独自の価値(商品やサービス)を提供することによって存続していくことができるわけですから、企業の一員として働くということは本来誰かや世の中の役に立つことにかかわっていることになります。

 

経営方針を一貫性を持たせる形で明確にし、その経営方針と個人の目標が明らかにつながっているということをしっかり社員に理解させてあげることがとても重要です。

 

そうすれば、社員は自分の仕事を意気に感じ、心を込めて働くようになります。

 

それに対して経営方針と社員の目標とのつながりがよく見えなかったり、一貫性がなかったりすると、社員はどの方向に向かって走ったらよいのかわからず、みんなばらばらに動いてしまうので、力が分散して、価値提供という成果にはなかなか結び付かないということになってしまいます。

 

したがって、社員の力を一点に集中し、独自性の高い価値(商品やサービス)を提供し続けるためには、一貫性のある経営方針を明確にする必要がありますし、その内容を社員に深く理解させる働きかけが必要です。

 

そして、その一貫性のある経営方針の実現に貢献する社員の個人目標の設定もとても重要です。

 

ですから、すべての力を一点に集中する経営をするためには、一貫性のある経営方針と目標管理(OKR)との連動がポイントになります。

 

経営方針に一貫性が無いな、経営方針と目標管理がうまくつながっていないなと感じたら、見直しを行ってください。

 

社員の力をうまく活かせていない状態になっていると思います。

 

まとめ

 

VUCAといわれる現在の社会状況の中で、メンバー一人ひとりを最大限に活かし、その組織独自の価値を創造し、提供し続けるという一点に集中できる組織をつくらないと、組織が持続的に成長・発展し、末永く存続していくことは難しくなっていくでしょう。

 

メンバー一人ひとりを最大限に活かしていくためには安心できる組織文化をつくることが必須条件で、そのためには心理的な安心と制度的な安心を築く必要があります。

 

そして、組織内のすべての力を一点に集中するためには、一貫性のある経営方針を策定し、その経営方針と個人の目標を結びつける目標管理(OKR)の効果的な運用がとても重要になります。

 

この2つのことを実現していくためには、経営者とリーダーの気づきとそうした組織をつくるという強い決意が必要です。

 

やはり組織の経営は、経営者とリーダー次第なのです。

 

ぜひ独自の価値を創造し提供し続けるという一点を追求する厳しさと社員を人間として尊重し成長を促そうとする温かさを兼ね備えた組織づくりを目指していただければと思います。

 

個の幸せな働き方と組織の発展が両立する素晴らしい企業が増えていくことでしょう。

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