マネジャーのリーダーシップとマネジメント力を鍛え、会社を強くする ~マネジャーを鍛え、育てるOKRを軸にした「3つの組織基盤づくり」~
目次
はじめに:様々な経営課題の根っこにあるもの
「課題ばかりですよ」といつもおっしゃるのは、弊社が支援しているある会社の経営者の方です。
課題のない会社はないと思います。
特に積極的に事業を展開している企業であればあるほど、課題が多いことでしょう。
弊社が2025年度に訪問した100社余りの企業から聞こえてきた課題のトップ7です。
- 人材の採用
- 売上・利益のアップ
- 社員のスキル・専門性の向上
- 生産性・業務効率の向上
- マネジャーのリーダーシップ・マネジメント力の強化
- 人事制度の整備
- 社員の定着
ほぼすべて、人に起因する課題です。
こうした課題の解決にもっとも影響を与えるのが、マネジャーのリーダーシップとマネジメント力です。
マネジャーがリーダーシップとマネジメント力をしっかり発揮できれば、社員はより効果的に働けるようになります。
そして、そのことによってメンバーの定着が進み、組織全体の創造性や生産性が上がることによって、会社の業績もよくなり、会社全体の魅力が増すため若い人材を採用できるようになるなど、社内に好循環が生まれる可能性が高まります。
マネジャーがリーダーシップやマネジメント力を発揮しないのは、マネジャーの皆さんの問題ではなく、マネジャーがリーダーシップとマネジメント力を発揮できる、仕組みや環境がうまく整っていないことが主な原因です。
ですから、もし様々な経営課題を効果的に解決しながら、業績向上に結び付けたいと思ったら、マネジャーがリーダーシップとマネジメント力を無理なく発揮できる組織基盤づくりに取り組む必要があります。
本記事では、マネジャーに求められるリーダーシップとマネジメントとは何か、リーダーシップとマネジメント力を鍛えるのに最適なOKRの魅力、そしてOKRを軸とした体系的な組織づくりついてお伝えしたいと思います。
マネジャーの本来の役割とは
私が昨年度訪問させていただいた企業からは、マネジャーに関して
「部下に任せられない」
「会議で発言しない」
「プレイヤーから抜け出せない」
「育成ができない」
などのなげきがとても多く聞かれました。
マネジャーは、会社の目的を実現するためメンバーとともに結果を生み出すことを求められます。
そして、結果を生み出すためにはメンバーに最大限の力を発揮してもらい、成果をあげてもらわなければなりません。
このメンバーに最大限の力を発揮してもらうために必要なのが、リーダーシップとマネジメントです。
リーダーシップとは、自分たちが目指す方向(ビジョン、目標、方策)を示し、なぜそれを目指すのかその意味の理解を深め、メンバーの心に火をつけリードしていくことです。
そしてマネジメントとは、チームの目標を達成するためメンバーの力を最大限に引き出し、メンバーの障害を取り除き、メンバーが最大限の成長と成果を実現できるように後押しすることです。
しかし、多くのマネジャーはマネジャーになる前にどうやってリーダーシップとマネジメント力を発揮したらよいのか、充分な教育やトレーニングを受けていないことがほとんどです。
たとえ、マネジャーになる前に研修を受けていたとしても、一朝一夕にリーダーシップとマネジメント力を発揮できるようになるものではありません。
ですから、会社は、マネジャー候補に研修を受けさせるだけではなく、マネジャーになった後もメンバーに対してリーダーシップとマネジメント力を発揮し、実践しながら習熟していく仕組みや環境を用意することが重要です。
このマネジャーのリーダーシップとマネジメント力を鍛えるのにもっとも効果的な仕組みが、OKRという目標管理の仕組みだと考えています。
リーダーシップとマネジメント力を鍛えるOKR
OKRとは、全社、各部門、メンバーそれぞれの立場で追求したい目標を自ら設定する目標管理の仕組みです。
1つのO(Objective:目的)と2~5つに絞り込まれたKR(Key Results:重要な結果指標)で構成されています。
Oで今期実現したい理想的な状態を定性的に表し、そのOを実現するために達成したい具体的・定量的な結果を表現したのがKRです。
OKRはとてもシンプルですが、理想を追いかけながら、現実をつくっていく、とてもバランスの取れた優れた仕組みだと思います。
追求する理想を明らかにすることでマネジャーやメンバーのモチベーションを維持、刺激しながら、現実の行動に駆り立てるのです。
さらにOKRが優れているのは、単純にその期に達成したい目標を設定するのではなく、会社全体の目的(MVV、中期ビジョン、経営戦略など)の実現を意識しながら設定している点にあります。
会社全体の目的を実現するために、今期全社で何を目指すのか、その全社の目標を実現するために各部やチームは何を目指すのか、各部やチームの目標を実現するために各メンバーは何を目指すのか、上位の目的や目標の実現を意識しながら各OKRは設定されます。
ですから、すべてのOKRが最終的には会社全体の目的の実現に向かっているのです。
このことは、社員に対してその会社で仕事をする意味や意義を実感させることができるため、社員のエンゲージメントを高める上でもとても重要なポイントです。
そして、OKRが設定されたら、その達成に向かって会社全体やチームごとに活動していくことになります。
自分たちが設定したOKRを達成するためのアクションプランを設定し、それをチームで実行し、その成果を定期的(1週間ごとor1か月ごとなど)にレビューし、その振り返りを踏まえて次のアクションプランを設定し、活動を続けていきます。
いわゆるPDCAサイクルが回る状態ですね。
これらのことによって、OKRがしっかり運用できると、マネジャーは否が応でもリーダーシップとマネジメント力を発揮し、鍛えていかざるを得ないことになりますし、メンバーも同時に鍛えられることになります。
OKRから生まれる具体的な効果
先ほど申し上げたように、OKRは会社全体の目的(MVV、中期ビジョン、経営戦略など)の実現を踏まえ、上位のOKRの達成も意識しながら自らの部門やチーム、個人のOKRを設定しますから、会社全体の目的を期初に、また期中に確認する機会が度々ありますので、上から浸透させようと思わなくても、社員は会社全体の目的や上位のOKRを自分ごととして理解するようになります。
また、OKRの設定に当たっては、マネジャーとメンバーが話し合いながら自分たちで決定するので、社員の主体性や自発性をはぐくむことができます。
そして、先ほども申し上げましたが、OKRの設定や運用をするためには、マネジャーは会社全体の目的や上位のOKRを自分の言葉でメンバーに伝え、自部門の進む方向性を示し、リードしていくことになるので、リーダーシップを養うことができます。
またマネジャーは、OKRの定期的なレビューの中でメンバーの状況を把握し、成果をあげられるように支援する必要があるので、マネジメント力が養われます。
その定期的なレビューの中で、マネジャーとメンバー、メンバー同士のOKRを媒介とした目的志向のコミュニケーションが増えるので、率直に話し合う、風通しの良いチームをつくることができます。
そして、OKRを運用することはPDCAサイクルをしっかりと回すことにつながるので、人と組織の成長と成果を着実に生み出すことができるようになります。
ただ、OKRという仕組みを単体で導入しただけでは、こうした効果を必ずしも得ることができません。
OKRをよりよく機能させるためには、OKRという仕組みを支える組織基盤も合わせて整えていく、体系的な取り組みが必要になります。
OKRを支える2つの組織基盤
OKRをよりよく機能させるための土台となる2つの組織基盤とは、①会社全体の目的の明確化と共有、そして②心理的安全性の高い組織風土です。
どんなにOKRを一生懸命運用して様々な効果に結びつけようと思っていても、会社全体の目的(MVV、中期ビジョン、経営戦略など)が明確になっておらず、社員が理解していないとしたら、社員は何のためにOKRに取り組まなければならないのかがわからず、目標を達成しようとするモチベーションは思ったように高まりません。
また、OKRはマネジャーとメンバー、メンバー同士で密にコミュニケーションを取りながら、目標を設定したり、定期的にレビューしながら軌道修正をしたりする必要があるので、心理的安全性の高い組織風土がないと、建設的な意見や時には厳しい意見などが交わされず、より高いパフォーマンスを実現することはできません。
したがって、OKRをより良く機能させ、そこからさまざまな効果や高いパフォーマンスを得るためには、①会社全体の目的の明確化と共有、②心理的安全性の高い組織風土という土台がしっかりできているかどうかを点検し、もし不十分であれば、その2つの組織基盤づくりにも同時に取り組む必要があります。
そして、OKRの導入・運用を含めてこの3つの組織基盤づくりに取り組む順番としては、
【STEP1】
会社全体の目的の明確化と共有に取り組む
【STEP2】
STEP1を踏まえて、OKRを導入し、運用する
【STEP3】
OKRの運用をする中で、心理的安全性の高い組織風土づくりに取り組む
この順番がもっともスムーズで、効果的な取り組みになると思います。
こうした単にOKRという仕組みを導入するだけではなく、OKRをよりよく機能させることも見据えた体系的な組織基盤づくりに取り組むことにより、マネジャーのリーダーシップとマネジメント力がスムーズに鍛えられるようになります。
そして繰り返しになりますが、マネジャーがリーダーシップとマネジメント力を発揮すればするほど、メンバーのやりがいとチームワークも高まり、会社全体としてお客様や社会に対して自分たちらしい価値を提供できるようになるので、会社の業績も高まり、持続的に成長・発展していくという好循環が生まれることになります。
したがって、様々な経営課題がある中で、どうしても後回しになりがちな、マネジャーのリーダーシップとマネジメント力を高めることに焦点をあてることは、企業の永続を考えても極めて重要なことなのです。
このマネジャーのリーダーシップとマネジメント力を高めることにフォーカスした、体系的な3つの組織基盤づくりにしっかり取り組むことは、心ある経営者なら誰しも望んでいる、「社員の幸せな働き方」と社会への「自分たちらしい価値提供」を同時に実現する理想的な経営に近づいていくことにもなります。
社員数が3.1倍、売上が1.8倍に
ここで弊社が現在も支援していて、「3つの組織基盤づくり」に取り組んだ企業の事例を見ていたいと思います。
A社は、中野区に本社がある交通誘導警備の会社です。
この会社と出会ったのは約2年半前で、最初に社長にお会いした時のその会社の課題が、社員の定着率を高め、従業員が増えていく状態をつくりたいということと、幹部の皆さんの活性化と一体感を生み出すための会議体を運営したいというまさにOKRによるマネジャーの強化という弊社の事業領域にピッタリの内容でした。
まず取り組んだのが、言語化されたばかりだったその会社のミッション・ビジョン・バリューにもとづいて、その会社の3年後ビジョンとそのビジョンを実現するための経営戦略の策定でした。
そして、この新たに策定した3年後ビジョンと経営戦略の実現を見据えて、全社OKRを設定し、運用を開始しました。
2週間に1回のペースで社長以下経営幹部が集まる会議を設定し、①前回決めたアクションプランの確認、②2週間の活動の結果できたことや成果、できなかったこととその原因のレビュー、③②を踏まえた現在の重要課題の見極め、④その重要課題を解決するためのネクストアクションの設定・実行というPDCAサイクルを回すことを地道に続けています。
その中で、社員の働く誇りを高めるためにも、他社よりもワンランク上の警備サービスの基準を明確にし、その基準をスキルマップに落とし込んで社員に徹底するということ、そして社員のコミュニケーションを促進するための懇親会を3か月に1回企画して実施するということの発想が生まれ、実行しています。
他にも様々な取り組みをした結果、2年間で社員数は3.1倍(17名→53名。現在は61名)に、売上は1.8倍(2.5億円→4.5億円)になっています。
売上向上については市場環境や採用施策など複数要因がありますが、OKRを軸にした組織基盤づくりが少なからず影響したと考えています。
また定性的な成果としては、幹部に主体性と一体感が生まれ、リーダーシップを取れるようになってきたとの社長の評価をいただいていますし、社員の皆さんからは「会社が明らかに変わってきた」「この会社で働けてよかった」「採用してもらって感謝している」など以前は聞かれなかった声が聞こえてくるようになりました。
もちろん、すべてが順調に進んでいるわけではなく、幹部同士の関係も必ずしも一枚岩ではありませんが、体系的な「3つの組織基盤づくり」の考え方に基づき、OKRをしっかりと運用していることによって、支援に入った当初は定着率が低く、従業員数がまったく増えない状態から、大きな変化が生まれています。
まとめ
今多くの企業で、社員が定着しない、社員の主体性やチームワークが弱い、業績が思ったように伸びないなどの課題を抱えていることと思います。
その背景には、現場マネジャーが本来の役割であるリーダーシップやマネジメント力を十分に発揮できていないことが考えられます。
ただ、これはマネジャーが悪いわけではなく、マネジャーがリーダーシップとマネジメント力を発揮するための仕組みや環境が十分に整っていないことが主な原因と考えられます。
もし組織力を強化し、様々な経営課題を解決しながら、業績に結び付けていきたいと思ったら、マネジャーが無理なくリーダーシップとマネジメント力を発揮していくための体系的な組織づくりに取り組むことがとても重要です。
そして、マネジャーのリーダーシップとマネジメント力を無理なく、効果的に鍛えるのに最適なのが、OKRという目標管理の仕組みです。
ただしOKRという仕組みを導入しただけでは効果は限定的で、OKRをより良く機能させマネジャーのリーダーシップとマネジメント力を高めるためには、①会社全体の目的の明確化と共有、②心理的安全性の高い組織風土づくりにも同時に取り組む、体系的な組織基盤づくりが必要です。
このOKRを含めた体系的な3つの組織基盤づくりにしっかり取り組むことができれば、様々な経営課題が解決し、無理なく効果や成果が生まれる魅力的な組織に生まれ変わり、「社員の幸せな働き方」と社会への「自分たちらしい価値提供」が同時に実現する、心ある経営者にとって理想的な経営に近づくことができます。
そんな企業が世の中に増えることを心から願っています。
まずは、貴社の現在の「3つの組織基盤」がどれくらい機能しているか、現状をチェックするところからはじめませんか?
弊社では、組織の現状を診断する『無料相談会』を実施しています。マネジャー育成やOKRの運用でお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
当社では、それぞれの企業の人材や組織に関わる課題解決の方向性を整理する個別相談を行っています。
こんな課題があるんだけど、何から手をつけたらよいかわからないというような場合は、一緒に課題を整理して最重要課題を見つけ、どのような解決策をどんな順番で取り組んだらよいかを見出すサービスです。
お気軽にお問い合わせください。
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