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人と信頼を結ぶためには、まず丁寧に自分と向き合う必要がある

 
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はじめに

 

前回のブログでは、現在はとても不透明で見通しがきかず、こうすればうまくいくという正解が分かりづらい時代で、会社を経営したり、組織を運営していく上では、今この状況の中で自分たちにとっての正解(最適解)は何かを、その都度見つけながら進んでいく必要があるとお伝えしました。

 

そして、自分たちにとっての最適解を見つけて進んでいくためには、会社や組織のメンバーがそれぞれが持っている情報やアイデア、そのことに対して思っていることや感じていることを率直に発言し、方向性を決め、協力し合う必要があります。

 

つまり、効果的なチームワークが不可欠な時代だと言ってよいと思います。

 

そして、効果的なチームワークを生み出していくための起点になるのが、メンバーがそれぞれ意見や思っていることを率直に話せるという関係性、今よく言われている心理的安全性の高い環境、組織です。

 

ただ、「皆さん、意見や思っていることを率直に話しましょう」と言われたとしても、人間そんなに簡単に率直に話せるようになるものではありません。

 

とくに職場やビジネスの場ではそうだと思います。

 

効果的なチームワークを生み出すためには、メンバーが率直に話ができる心理的安全性の高い環境や組織が必要なわけですが、メンバーが率直に話せるようになるためには、そのベースとして信頼関係があることが重要です。

 

それもただの信頼関係ではなく、「無意識レベルでの信頼関係(ラポール)」を築くことがとても重要です。

 

そして、無意識レベルの信頼関係(ラポール)を築くためには、ラポールの土台とラポールの原理で人と向き合うことが重要だとも前回のブログでお話ししました。

 

ただ、普段から信頼関係を意識しながら人と向き合っているんだけど、なかなかうまく信頼関係を築けないなと思っている方も多いのではないかと思います。

 

今回は、信頼関係を築こうと思っているんだけどなかなかうまくいかない根本的な原因と自然により深く人と信頼関係を結べるようになるポイントについてお伝えしたいと思います。

 

信頼を結ぶ人との向き合い方 ~ラポールの土台とラポールの原理~

 

まずは、信頼を結ぶには人とどのようなコミュニケーションをとったらよいのか、どう向き合ったらよいのかについて、おさらいするところから始めたいと思います。

 

人は、人とコミュニケーションを取るときには、2つのコミュニケーションを同時に行っています。

 

それは、意識コミュニケーションと無意識コミュニケーションです。

 

そして、人との信頼関係を築いていく上で決定的に重要なのは無意識コミュニケーションです。

 

人は人と相対するときには、主に会話や表情でコミュニケーションを取っていますが、一方で人は相手が自分にとって敵なのか味方なのか、安心を与えてくれる人なのか不安を与える人なのかを潜在意識で無意識に判断しています。

 

これが無意識コミュニケーションで、どんなに表面上フレンドリーに会話をしていても、なんとなくこの人は怪しいぞ、油断してはダメだなと無意識に感じているとしたら、その人と信頼関係を結ぶことができません。

 

ですから、人と信頼関係を結ぼうと思ったら、直感的にこの人は安心できそうだ、味方になってくれそうだと相手に思ってもらえるような向き合い方をする必要があります。

 

その向き合い方の基本となるのが、ラポールの土台とラポールの原理です。

 

このラポールの土台とラポールの原理に基づいて丁寧に人と向き合っていると、無意識レベルの信頼関係(これをラポールといいます)を格段に高めることができるようになります。

 

それでは、ラポールの土台とラポールの原理とはどんな向き合い方なのか、おさらいしていきましょう。

 

ラポールの土台

 

ラポールの土台とは、人と無意識レベルの信頼関係を築く上での最も基本的な姿勢です。

 

無意識レベルの信頼関係=ラポールとは、「理由はうまく言えないけどお互いに安心して頼ったり、任せたりできる関係」と言ってよいと思いますが、仲の良い家族や友達、同僚や長くつき合っているお客様などとの間にはこういう状態が生まれていると思います。

 

その基本となるのが、相手の存在を無条件に認めるということです。

 

家族も親友も同僚もお客様も、みんな長所も短所も、好きなところも嫌いなところもあると思いますが、人ってみんなデコボコした同じ人間だよねと思って、相手の存在をありのままに受け入れている状態です。

 

これを「存在承認」といいます。

 

やはりこれがベースにないと、人と無意識レベルの信頼関係=ラポールを築くことはできません。

 

あたり前ですが、「何々をしたら認めてあげるが、何々をしなければ認めてあげない」というように自分の存在を条件つきでしか認めてくれない人のそばにいても安心感は得られません。

 

では「相手の存在を認める=存在承認する」にはどうしたらよいかというと、相手に安心感を与えるシンプルな行為を積み重ねていけばいいのです。

 

具体的には下記のように、1秒でできるシンプルな行為で、これを【1秒コミュニケーション】と呼んでいます。

 

【1秒コミュニケーション】

  • あいさつ
  • 会釈
  • アイコンタクト
  • 一声かける
  • 合図を送る
  • スキンシップ

など

 

つまり、自分から積極的に暖かいかかわり方をして、あなたの存在を認めていますよという短いメッセージを送り続けるということです。

 

信頼関係を築くには相手に無意識レベルの安心感を与えるということがとても重要で、その土台にあるのが「存在承認」ですが、その相手の存在を認めているということをさらに強めていくのがラポールの原理です。

 

ラポールの原理

 

ラポールの原理は、人はどのような人を信頼するのかを3つの文章で表したものです。

 

  1. 人は、自分のことをありのままに理解しようとする人を信頼する(理解)
  2. 人は、自分が大切にしていることを大切に(尊重)してくれる人を信頼する(尊重)
  3. 人は、共通部分を認識したり、感じとることで信頼度を高める(共感)

 

この3つの中で、一番重要で、ちょっと難しいのは1です。

 

人は人と向き合うとき、なかなか相手をありのままに理解しようとしていません。

 

自分の経験の中で生み出してきた、価値観、信念、思い込みなどに基づいて、評価・判断・解釈を加えながら人を理解しようとしてしまいます。

 

これはほとんど無意識の働きなのですが、要するによく言われる色眼鏡をかけて相手を見ている、理解しようとしている状態です。

 

これでは相手をよく理解することはできませんし、相手も色眼鏡で見られていると感じたら、いい気持ちはしないですよね。

 

当然色眼鏡で自分を見ようとする人を信頼できないでしょう。

 

ではどのように向き合ったらよいのでしょうか。

 

基本的には、相手の話を聞くときには、自分が持っている価値観、信念、思い込みはとりあえず横に置いて、相手を主体に、相手に対して100%意識を向けるつもりで、相手の心の中にどんなことがあるのかを無心にキャッチしようとすればよいと思います。

 

いわゆる「傾聴」と呼ばれる向き合い方ですが、もちろん完璧にできるようになることはありませんが、自分のことを積極的に、ありのままに理解してくれようとしてくれていると相手が感じたら、信頼度はとても高まります。

 

そしてありのままに理解しようとする中で相手が大切にしていることがわかったら、自分の価値観や信念とは違うとしても、「あなたはそれを大切にしているんですね、そういう考え方もあるんですね」と尊重してあげて欲しいのです。

 

そして、相手が大切にしていることに「そうだよね」と自分も共感したら、それを応援したり、協力できることは協力してあげるとよいと思います。

 

このラポールの土台とラポールの原理にそって丁寧に人と向き合えば、あなたに対する信頼度は確実に高まっていくと思います。

 

私も、家族や友達、同僚やお客様がこんな風に向き合ってくれたら、「自分のことを大切にしてくれているんだなぁ、気を使ってくれているんだなぁ」と思ってじんわりとうれしくなりますし、そういう人たちとの信頼関係は深まっていくと思います。

 

人は、自分のことを理解してほしいですし、尊重してほしいですし、人と深くつながりたいと思っているんだと思います。

 

人が持つそうした想いを満たしてあげるような向き合い方が、信頼関係を築いていく上ではとても重要だと思います。

 

より深く信頼を結ぼうとしているのになかなかうまくいかない

 

人とできるだけ信頼関係を結ぶために、相手の存在を認めているつもりだし、聞くことが大事だとわかっているので「傾聴」もしているつもりだし、相手の大切にしていることを尊重しているつもりなのだけれど、どうもなかなかうまく信頼関係を築いていくことができない、人とつながっている実感がないということがあると思います。

 

信頼関係を結べているかどうかは、最終的には相手から頼られたり、何かを任せてもらえているかどうかで判断できます。

 

たとえばお客様と信頼関係を結べているかどうかは、どんなに表面的には親しげに話せていても、最終的には仕事を任せてもらえるか、契約に結びついているかどうかでわかります。

 

そして、人からより深く信頼されるためには、まず自分が相手から信頼されるような向き合い方、いわゆるラポールの土台とラポールの原理にそった丁寧な向き合い方をする必要があります。

 

でも、そうしているつもりなんだけど、人からより深く信頼されている実感がない、人と信頼関係を結べていると感じられないということがあると思います。

 

人から信頼されていると感じられない原因は、やはり自分がラポールの土台やラポールの原理にそって丁寧に相手と向き合えていないからなのですが、ではなぜ丁寧に人と向き合えないのか、丁寧に人と向き合えない原因は何かというのが最大のポイントです。

 

なぜ丁寧に人と向き合えていないかというと、実は自分が丁寧に自分と向き合えていないからなのです。

 

丁寧に自分と向き合えていない → 丁寧に人と向き合えない → 人から深く信頼されない → 丁寧に自分と向き合えない

 

という悪循環が生まれているのですね。

 

ポイントは自分との向き合い方です。

 

この悪循環を好循環にするためには、丁寧に自分自身と向き合うことが起点になります。

 

丁寧に自分と向き合う → 丁寧に人と向き合えるようになる → 人からより深く信頼されるようになる → より丁寧に自分と向き合えるようになる

 

人と自然により深く信頼関係を築くためには、丁寧に自分と向き合うということが決定的に重要です。

 

しかし、人は残念ながら普段ほとんど自分と向き合えていません。

 

「いやいや、自分はいつも必死に自分のことを考えているよ」とおっしゃるかもしれませんが、実は人は普段、自分の経験から生み出した価値観、信念、思い込みなどから「こうしよう、ああしよう」とほぼ無意識に判断し、行動しています。

 

いわゆる自分の経験則に基づいて、自動運転をしているようなものです。

 

この自動運転の割合は、ほとんどの人が1日のうちの90%以上、もしかすると特定の日では100%にのぼる日もあるかもしれません。

 

ですから、多くの人はほとんど自分と向き合う時間を持てていないのです。

 

これでは、丁寧に自分と向き合えていないので、当然丁寧に人と向き合うこともできませんし、丁寧に人と向き合えないので、人とより深い信頼関係を結ぶことができないことになります。

 

それでは、丁寧に自分と向き合うにはどうしたらいいのでしょうか。

 

次に、丁寧に自分と向き合う方法についてお伝えしたいと思います。

 

丁寧に自分と向き合う方法

 

前項では、人から信頼されるためには、丁寧に人と向き合う必要があり、丁寧に人と向き合うためには、まず丁寧に自分と向き合う必要があるとお伝えしました。

 

では、丁寧に自分と向き合うには具体的にどうしたらいいのでしょうか。

 

丁寧に人と向き合うとは、ラポールの土台とラポールの原理にそって向き合うことでした。

 

丁寧に自分と向き合うのも同じで、ラポールの土台とラポールの原理に基づいて自分自身と向き合えばいいわけです。

 

まずは、自分自身を条件つきではなく、ありのままにその存在を認めてあげるということです。

 

人は人に対してと同じように、自分自身に対しても何々ができたら認めるが、何々ができなければ認めないと無意識のうちに判断して、結構ありのままに認めていないケースがほとんどだと思います。

 

あまりにも思い通りにいかなくて、自分を嫌悪している場合すらあります。

 

人に対するときと同じように、人間はみんないいところも悪いところも、強いところも弱いところも、思いやりのあるところも意地のわるいところもすべて持っているようなデコボコした存在で、自分自身もそれが当たり前だし、「それでいいんだよ」とありのままに認めてあげて欲しいのです。

 

自分が見たくない自分も含めて自分をありのままに認められると、とても心が安定します。

 

その上で、ラポールの原理に基づいて自分自身とさらに向き合ってください。

 

まずは、ラポールの原理1にそって、評価・判断・解釈を加えずに自分の心の中にどんな想いがあるのか、どんな声があるのかをつぶさに観察し、その声をありのままに聞いてください。

 

どんな想いや声があってもOKです。

 

ポジティブな想いもネガティブな想いも懐かしい想いも想い出したくない想いも、昨日うれしかったことも腹が立ったことも、これがしたいという想いもこれはイヤだという想いも、すべて「そんな想いや気持ちが自分の中にあるんだな」と客観的に、俯瞰的に淡々と見られるといいと思います。

 

そうした中で、自分が大切にしている想いを発見したら、「そういう気持ちがあるんだね」と尊重してあげてください。

 

そしてその大切にしたいことに自分自身も「やっぱりそうだよね」と共感したら、ぜひそれを実現する方向に行動するとよいと思います。

 

ほんとうに小さな一歩でもよいので、実現する方向に歩み出してあげて欲しいのです。

 

これが、丁寧に自分と向き合うということですし、自分を本当の意味で大切にすることにつながりますし、自分が自分自身を満たすことができるので、丁寧に人に向き合っていくことができるようになります。

 

そうすると、人と自然により深い信頼関係を結べるようになるので、プライベートも仕事もうまくいく可能性が高まり、本当の幸福感に満たされた人生に向かっていくことができます。

 

すべては自分が起点だし、自分自身を思いやり、大切にしてあげることが始まりです。

 

まとめ

 

人は、基本的に1人では仕事はできないですし、1人で生きていくことはできません。

 

協力しながら仕事をし、助け合いながら生きていくためには、やはり信頼関係がとても重要だと思います。

 

したがって、仕事をする、事業を展開する、生きていくということは、信頼関係を築いていくこととほぼイコールと考えてもよいぐらいだと思います。

 

そして、人と信頼関係を築いていくためには、丁寧に向き合っていく必要がありますし、そうした向き合い方を一度だけ行えばよいというものではなく、ある意味ずっと続けていく必要があります。

 

相手の存在を無条件に認め、相手のことを評価・判断・解釈を加えずにありのままに理解しようとし、その中で相手が大切にしていることがわかったらそれを尊重してあげ、その相手が大切にしていることに共感したら、応援や後押しをしてあげる、あるいはもっと踏み込んで協力するという姿勢が大事だと思います。

 

こうした向き合い方ができれば、相手との信頼関係を深めることができると思いますが、より自然に、より深く信頼を結ぶためには、まずは丁寧に自分自身と向き合うことがとても重要だというのが今回のブログの核心部分です。

 

自分と深く、丁寧に向き合うことができれば、人と丁寧に向き合うことができるようになり、自然により深い信頼関係を結ぶことができるようになり、とても充実した仕事ができ、より充実した人生を送ることができるようになるのではないでしょうか。

 

まずは丁寧に自分自身と向き合い、自分自身を大切にしてあげていただければと思います。

 

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