ビジョンを描くことで成長に満ちた経営がはじまる
本質的な経営課題
最近は毎日のように初めての企業を訪問し、経営全般についての課題をお聞きした上で適切な支援プログラムをご提案するということをさせていただいています。
メーカー、商社、小売業、建設会社、運輸業、IT企業など本当に様々な業種・規模の企業の経営者や経営企画、総務・人事の責任者の方などにお会いさせていただいていて、昨年の8月末から累計で60数社にのぼります。
お伺いして課題として上がってくるものを多い順に並べると下記のようになります。
- 人材確保、採用活動の質の向上
- 売上の回復または拡大
- 社員の全体的な高齢化へ対応
- 明確な基準に基づく評価制度・報酬制度の整備
- 管理職の基本的なマネジメントスキルの向上
- 社員のモチベーションアップ
- 新規事業、新製品やサービスの開発
- 経営トップの後継者問題
今圧倒的に多いのは、１の人材確保・採用活動の質の向上と２の売り上げの回復または拡大で、３以下について課題に感じていらっしゃるところは非常に少数派です。
今の事業を維持するために、売上を確保したい、そして欠員を速やかに埋めていきたいというのはもっともな話です。
ただ、上記に上げた課題以外にとても大きな課題があると感じています。
それは、中長期的にこんな会社になるために、このような課題に取り組んでいきたいという3年から５年後ぐらいを見据えた経営戦略がほとんどの会社にないことです。
常に質的に成長することが必要
基本的には今の事業を今のまま続けていければいいと考えていらっしゃるところが多いと思います。
もちろん、今まで積み上げてきた顧客基盤もある程度しっかりしていて、安定的に売り上げも上がっていて、辞めていく社員も少ないということであれば、このままの状態を続けたいという気持ちはよくわかるのですが、今はやはりいつ何時どんなことが起るかわからない、見通しのきかないVUCAの時代ですので、常に困難な状況が生じる可能性も視野に入れながら、現状を維持していくためにも会社を常に鍛え、質の面で成長させていく必要があると思います。
したがって、自社にとっての本質的な課題を明確にして、常にその課題解決に取り組んでいくための経営戦略を持つことは、どんなに恵まれている会社であっても必須ではないかと思います。
具体的なビジョンが描けると経営戦略を立案できる
ではどうしたら自社にとっての本質的な課題を見極め、経営戦略を立案することができるのでしょうか？
それはやはり、自社の一番大切な価値観である企業理念に基づいて、３年後あるいは５年後にこんな価値を提供することができるこんな会社になりたいという「自社のありたい理想の姿＝ビジョン」を具体的に描くことだと思います。
具体的なビジョンが描けると、そのビジョンと現状のギャップが見えてくるので、自社の課題が明確になります。そしてその課題をさらに掘り下げて考えていくと本質的な課題に行きつきます。さらに、その本質的な課題を解決するために３～５年の間で何に取り組んだらよいかを考え抜くと適切な経営戦略を立案することができます。
不透明な状況だからこそビジョンを描くことが重要
今具体的なビジョンがないということは、残念ながら目的地を決めずに大海原を航海しているようなものです。
やはりいつ何時嵐に見舞われるかもしれない大海原を航海するためには、目的地（ビジョン）を具体的に描き、計画的に航海することが必要だと思います。
それも、できれば乗組員全員がわくわくするような目的地（ビジョン）を描ければいうことはありません。
そして、その目的地（ビジョン）への航海への期待や難易度が高ければ高いほど、ルートや航行の時期を明確に決め、つねに航海技術の向上を図り、船のメンテナンスを怠らないなどを計画的に行っていく必要があると思います。
もし今自社の重要課題が明確になっていない、経営戦略が描けていないという場合には、ぜひできるだけ多くのステークホルダーがわくわくするような３～５年後のビジョン（自社のありたい理想の姿）を描いてみてはいかがでしょうか？
人生という航海の舵を握るためにも
そして、ビジョンが必要なのは何も組織に限ったことではありません。
私たち一人ひとりも、実は小さな船でいつなんどき何が起こるかわからない大海原を航海しているようなものです。
個人としても、自分の人生理念に基づいて、3年後または5年後にどんな自分になりたいのか、ありたい自分の理想の姿＝ビジョンを描くことが、自分の人生の舵を握り進むためにもとても重要なことです。
わくわくするビジョンを描くことで、組織も人も今までとは違った航海がはじまるかもしれません。
