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永続する優れた企業の4つの特徴

 
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はじめに

 

日本には100年以上存続する老舗企業が数多く存在します。

 

世界最古の企業も日本の企業で、金剛組という西暦578年創業の寺社仏閣の建築設計・施工、城郭や文化財建造物の復元や修理等を主に手掛けている会社です。

 

また、世界最古のホテルも日本に存在し、石川県粟津温泉にある「法師」という温泉旅館で、西暦718年創業だそうです。

 

世界の創業100年以上の企業(7万4037社)のうち日本の企業は50.1%、世界の創業200年以上の企業(2129社)では日本の企業が65.2%を占めています(2022年日経BPコンサルティング・周年事業ラボ調べ)。

 

長寿企業の中でも日本の企業が圧倒的な割合を占めているわけですが、企業を経営している経営トップの皆さんも、社員や社員の家族のことを考えると、やはり自分の会社も永続する優れた会社したいなと望んでいらっしゃるのではないでしょうか。

 

そうであれば、私たち企業支援に関わるコンサルタントも含めて、この日本の長寿企業から、「永続する優れた経営の秘訣」を学ばない手はないのではないかと思います。

 

それではまず、長寿企業の特徴を、小野泉氏と古野庸一氏共著の『「いい会社」とは何か』(講談社現代新書)を参考にしながら、独自にまとめてみたいと思います。

 

長寿企業の4つの特徴

 

長寿企業の特徴はどのようなものでしょうか?

 

上記の『「いい会社」とは何か』の中で、亜細亜大学の横澤利昌教授が行った長寿企業の調査結果で、長寿企業が「変化させていないこと」と「時代に応じて変化させたこと」について紹介しています。

 

【変化させていないこと】

  • 顧客第一主義
  • 本業重視・堅実経営
  • 品質本位
  • 従業員重視
  • 企業理念の維持

 

【時代に応じて変化させたこと】

  • 顧客ニーズへの対応
  • 時代に合わせて販売チャネルを変更
  • 家訓の解釈を時代に合わせる

 

長寿企業には揺るがず、守り続ける部分と状況に合わせて柔軟に変化させる部分があるということですね。

 

上記の調査結果や私たちが注目してきた「日本でいちばん大切にしたい会社」で大賞を受賞するような優れた会社の特徴は非常によく似ていて、まとめると下記の4つに集約されると思います。

 

人を人として大切にする、尊重する

 

1つ目の特徴は、人を人として大切にする、尊重するというゆるぎない価値観が特に経営者にあるということです。

 

社員やお客様はもちろん、取引先や地域の人々、ひいては人類まで、人を何かの目的のための道具としてではなく、人として本当に大切に考え、尊重しているということです。

 

経営者がもともと人が好きという場合もあると思いますが、苦しいときに助けられた恩を感じ、すべての人を大切にしたい、お役に立ちたいという思いに至っているケースがほとんどです。

 

人の可能性を信じ、尊重しています。

 

質の高い価値の提供を追求し、こだわっている

 

2つ目の特徴は、1つ目の人を人として大切にするという基本理念からきていると思いますが、質の高い価値(製品やサービス)の提供を追求し、こだわっているということです。

 

人を大切にし、人の役に立ちたいと思ったら、当然自分たちが提供する製品やサービスは、誇りが持て、納得ができる質の高いモノでなくてはならないでしょう。

 

したがって、そうした心のこもった質の高い製品やサービスは社員、お客様、地域の人々から愛され、ブランドとなっていきます。

 

長期的な視点を持ちながら、時代や顧客ニーズの変化に合わせて自らを柔軟に変化させる

 

3つ目の特徴は、企業理念やビジョンなどの長期的な視点をしっかり持ちながら、時代や顧客ニーズの変化に合わせて自らを柔軟に変化させているということです。

 

基本的な価値観や最終的に目指すべき理想の姿であるビジョンは基本的に変えずに堅持しながら、事業展開や技術、業態などは状況に合わせて柔軟に変化させているということです。

 

「とらや」が伝統を守りながら、羊かんの味やTORAYA CAFEの業態展開など変えるべきところは変化させていることが象徴的です。

 

「質的な成長」を目指し、「量的な成長」を慎重に避ける

 

そして4つ目の特徴は、「質的な成長」を目指し、「量的な成長」を慎重に避けているということです。

 

やはり「量的な成長」=売上げ・利益や事業規模の拡大が目的化してしまうと、どうしても無理が生じて、提供する製品やサービスの質が落ちてしまうと思います。

 

質の低い製品やサービスを提供しては人を大切にすることにはなりませんから、いくら売上げや利益が伸びたとしても本末転倒です。

 

したがって、むやみに事業の拡大や多角化を行わず、提供する製品やサービスの質を担保できる身の丈に合った、ゆっくりとした成長を指向しています。

 

現在のSDGsの趣旨に合った質の高い経営につながると思います。

 

永続する優れた経営を実践している企業

 

伊那食品工業株式会社

 

1社目は、寒天を製造販売しているメーカーの伊那食品工業です。

 

年商は205億円(2022年)、社員数は523名(2023年1月)、48期連続で増収増益を達成し、2007年グッドカンパニー大賞グランプリ、2018年「日本でいちばん大切にしたい会社」中小企業庁長官賞などを受賞しています。

 

企業理念は「いい会社をつくりましょう ~たくましく そして やさしく~」です。

 

企業の目的は社会や人々の幸せを追求することで、もっとも重要で身近な社員の幸せを追求することであると現社長の塚越英弘さんがホームページで述べていて、リストラや給与カットなども行わないとおっしゃっています。

 

そして、社員の皆さんが働く環境が快適であることや福利厚生の充実に心血を注いでいます。

 

提供する価値については、実質的な創業者の塚越寛最高顧問が定めた「いい会社をつくるための10か条」のなかで、常にいい製品をつくる、お客様の立場に立ったモノづくりとサービスを心がけると宣言していて、人々の役に立つ、人々を幸せにする商品の提供を追求しています。

 

そして、塚越最高顧問は『リストラなしの「年輪経営」』(光文社)という著書の中で、「商品やサービスは時代に合わせて改革しても、その会社の基本的な理念は変えてはならないのです」と述べています。

 

また、売り上げや利益ではなく、社員の幸せが徐々に増えていく経営、そのためには、「年輪経営(少しずつ成長していくことを目指す経営)」で低成長を心がける経営を目指していると述べています。社員やお客様、地域の人々の幸せのためにも、会社は確実に存続していくことが大事という考え方だと思います。

 

ネッツトヨタ南国株式会社

 

2社目は、トヨタ車のカーディーラーのネッツトヨタ南国株式会社です。

 

年商56.5億円(2022年3月)、社員数133名(2023年3月)、13年連続でオールトヨタ顧客満足度No.1に輝き、2002年には日本経営品質賞を、2015年にはホワイト企業大賞を受賞しています。

 

企業理念は「全社員を勝利者にする」で、社員全員が自分が持っている可能性を人生で最大限発揮し、社員自身と会社を成長させる人間性尊重を第一の目的にしています。

 

顧客満足度の高いサービスは、アフターフォローの良さと週末の商売抜きのイベントの実施が特徴で、当たり前のこと(迅速、丁寧、きめ細かい、親身、笑顔など)を人並外れた熱心さで実行し続けることで生み出されています。

 

それも、会社が考えたマニュアルがあるわけではなく、社員同士が考えながらチームで質の高いサービスを実現しています。

 

そして、経営は「量追求」の世の中に逆行して、20年、30年を見据えた「質追求」の道をこつこつと歩んでいます。

 

人材採用では、本当に一緒に働きたい人材か見極めるために、人柄、適性、価値観を基準に選考を行い、面接に一人30時間をかけ本当に一緒に働ける人事のみを採用しているので、むやみに会社の規模を大きくすることは考えていません。

 

株式会社日本レーザー

 

3社目は、最先端の研究・産業用レーザーや高額機器などを輸入・販売するレーザーの専門商社、株式会社日本レーザーです。

 

年商56.2億円(2021年度)、56名(2022年1月)、23年連続黒字で、10年以上離職率はほぼゼロ、第1回「日本でいちばん大切にしたい会社」の大賞である「中小企業庁官賞」を受賞しています。

 

日本レーザーのクレドの特徴は、会社は社員の雇用と成長の機会を守るために存在している、会社は社員を幸せにするために存在していると徹底的な社員ファーストを宣言している点です。

 

社員の雇用を守り、自己成長の機会を提供するために、「赤字は犯罪!」というスローガンのもと、どんな経営環境でも利益が出せる仕組みを周到につくってきました。

 

利益を出すことを非常に重視していますが、近藤社長は「大事なのは社員に働くことで得られる喜びを提供すること、そして生涯をかけて成長できる舞台を提供することが大事」と語っています。

 

利益はあくまでも社員の「雇用を守るため」に必要なのであって、利益を上げること自体が目的ではないともおっしゃっています。

 

「人の役に立ちたい」という利他の心がある社員が多く、会社はもう一つの家族のような一体感があるそうです。

 

いかがでしょうか。

 

3社とも人を大切にし、尊重することを基軸におき、特に社員の幸福、成長、雇用の確保のため、質の高い商品やサービスを提供し、人々に愛され、素晴らしい業績を実現しています。

 

まとめ

 

お伝えしてきた長寿企業の研究や継続的に業績を上げている企業の事例から、永続する優れた企業の経営の秘訣が垣間見えたのではないかと思います。

 

まとめると下記の4つがポイントになります。

 

  1. 人を人として大切にする、尊重するというゆるぎない価値観がベースにある
  2. 質の高い価値(製品やサービス)の提供を追求し、こだわっている
  3. 企業理念やビジョンなどの長期的な視点を持ちながら、時代や顧客ニーズの変化に合わせて自らを柔軟に変化させている
  4. 「質的な成長」を目指し、「量的な成長」を慎重に避けている

 

上記の4つを、経営者の皆さんが高い情熱と丁寧さをもって実現しようと血のにじむような努力をされています。

 

やはりその情熱の裏には、人の役に立ちたい、人を幸せにしたいという強い想いがあるのだと思います。

 

当たり前ですが、経営に好循環を生み出す起点はやはりここにあると思います。

 

 

組織理念の明確化/目標管理制度の導入についてはこちらをご覧ください。

 

 

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